トップページ > 卒業レポート > 塚田詠里央

卒業レポート

academic

2022.06
塚田詠里央
第46回生 - ケンタッキー大学

>プロフィールはこちら

 2022年5月6日、アメリカ・ケンタッキー大学で卒業式が行われ、無事、大学を卒業させて頂く事が出来ました。4年間、江副記念リクルート財団の奨学生として私を支えて下さった財団の皆様には本当に心から感謝しています。

また、有難いことに志望していた企業から内定を頂き、2022年10月からは社会人として、日本で新たなスタートを切る事になりました。

遡ること高校在学中、大学進学に向けて準備を始めた際、私も海外で留学をしてみたいという意識が芽生え、高校3年次にネットで自分の留学のバックアップをしてくれる企業、機関等はないかと探していた時、こちらを見つけ、一般枠でも受験資格があるかどうか、そこで初めて電話で確認させて頂いたのが事の始まりになりました。

そして最終の面接で奨学生に選んで頂いたその時の選考委員の方々のお顔を今でも思い出すと、自分は本当に不思議で素晴らしい縁に恵まれたのだなと感慨深いものがあります。

卒業式後にケンタッキーと2ショットを撮りました。

そして2016年、財団の面接でプレゼンテーションした留学の目標である認知症予防簡易ゲームの開発(中高の部活動から取り組んでいるライフル射撃の良質な特性を用いたもの)を具現化する為に2017年、アメリカケンタッキー大学に留学しました。大学1年、2年次は主にマーケティングを履修しました。

履修理由としてはいずれこのテーマを応用する為には、どの様に運営し、また企業から協力・賛同してもらえるのかの方法を模索する為の第一歩として、この学部を学びたかったからです。

それと並行して、ケンタッキー大学附属病院に併設されている医療施設(認知症施設)や認知の方々をサポートしている地元のコミュニティにお邪魔し、アメリカでは認知症に対してどの様にケアされているのかを現場を見て学ぶ日々が続いていました。

実際、アメリカで認知症のケアがどの様に行われているのか自分が見た感想として、認知症の様に治療が難しい症状に対しても、それぞれの患者さんの性格に合った治療法でサポートするという手厚さが素晴らしい事だと思いました。またどんな環境の人でも受け入れ、仮に患者さんが一人で住んでいた場合でも、決してコミュニティから外れない様、人と人とが繋がっているという安心感を与えながら支え続けるボランティア精神が根づいているのがアメリカの凄い所であると感じました。

また、休暇で日本に戻った期間には、日本の老人介護保険施設にお邪魔したり、認知を研究されている大学の教授の研究室にお邪魔して、具現化のアドバイスを頂いたりしていました。

私が開発したかった認知症予防簡易ゲームはアメリカの認知症改善プログラムのベースにある治療方法の考え方に近いものがあるという事を知り、やはり送り出して頂いたアメリカで、この現実のケアの仕方を見る事が出来たのは私にとって貴重な財産となりました。

話は前後しますが、実は私が留学中に母が病気で倒れ、心配で挫けそうになる事が多々あり、不安に駆られる事もありましたが、そんな状況の中でも財団の皆さんが陰日向となり私の気持ちを支え続けて下さいました。

認知症もそうですが、誰かと誰かが繋がって、そして支えるその力が何よりも優しく、代え難いという事もこの経験を通じて知りました。

就職活動の時も、優しさや豊かさとはなんなのかを財団の皆様から教えて頂いたので、全てにおいて人柄、そして人に優しい会社選びという事に重きを置いて就職活動をしました。

これからは私自身が優しさの種を一つずつ植え付けていき、育て実らせる事が出来る人間になる様に努力していきたいと思っています。

そして人生の節目節目に私を奨学生として支えて下さったご縁を後に続く人の為にもっともっと大きくしていける役割を社会人として担っていきたいと思っています。

最後になりましたが、4年半本当にお世話になりありがとうございました。

今後の江副リクルート記念財団のご発展と財団の皆様のご健勝をお祈り申し上げております。私もこの経験を活かせる様に日々、しっかり丁寧に送っていきたいと思っています。

卒業式の様子です。

   4年半の学生生活の中で本当に予期していなかったアクシデントや事柄に遭遇してしまい、弱気になって再度トライする事が怖くなってしまう事もありましたが、実はその経験が自分をかなり強くし、耐性をつけてくれた部分であると感じています。

というのもアメリカでこの認知症の計画を具現化する為に、実際の銃を使うわけではなく、ライフルの良質な特性を用いたレーザーゲームを作る事を相談しようとした際に、というイメージだけで拒絶されてしまう事がありました。実際は本来の銃ではなく、eスポーツのように安全に使用出来る玩具のようなものでも、銃という名前だけで「No!」という反応をされる場合がありました。そして銃の発砲事件がアメリカである度にそのような雰囲気が増し、私自身も八方塞がりになり、どうしたら少しでも話を聞いてもらえるのか、まずは自分自身がアメリカと日本の文化の違いを理解し、自分の中に落とし込む事でしか、そこに辿り着くことが出来ないと学びました。また、自分自身の中で受け入れるという事を体得し、それと共に、人にも尚のこと、支えられて受け入れてもらっていたからこそ成長したのではないかと思っています。

 異国に留学するという事はそれぞれ不安や失敗が付き物だと思いますが、私も意気揚々とする気持ちの反面、そういう不安な意識がいつも付き纏い、落ち込んでしまう事もありました。

笑う日もあれば、挫ける日もあり、期待に胸踊る日もあれば、道に迷う日もあると思います。しかし、そういう毎日の積み重ねが自分がやりたいことに近づいている過程になると思うので、まずは健康第一を大前提に、軌道修正するエネルギーと再び立ち上がる最強のパワーさえあれば、何事に対しても乗り越えられると思っています。そして、繰り返しにはなりますが、やはり人に支えられているからこそ、そこで勉強や生活出来るという事がとても分かってくるので、自分自身も誠実にそれに対して応える事が大切なのではないかと思いました。

次に続かれる皆様方のやりたい事のプロセスが素晴らしいデザインとして展開される事をお祈りしています。

塚田詠里央
>プロフィールはこちら