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奨学生活動レポート

music

2015.04
城戸 かれん Karen Kido
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江副記念財団の奨学生になって2度目の春が訪れました。私の在籍する東京藝術大学は、数多くの 美術館、科学館が建ち並ぶ上野公園の中を抜けたところにあり、四季折々の風景を味わえる最高の通学ルートです。
大学ではヴァイオリン、室内楽、どちらも2人の先生につき、様々な角度から音楽と向き合える、とてもバランスのとれた環境で、どんな事でも相談できる恩師や厳しい講評も言い合える附属高校時代からの仲間…色々な方に支えられていることを日々感じます。尊敬する同世代と大学を越えて室内楽をする機会もあり、やりたい事に好きなだけ挑戦できる幸せな学生生活を送っています。

しかし、いずれは海外で勉強したい、生活したいと考えています。例えばシューベルトを弾いている時、目を閉じると、自分がウィーンの街を散歩をしている光景(木漏れ日、そよ風、木々の香りなど、五感で感じるもの)が脳裏に広がることがあります。そういった頭の中のイメージを作っているのは、やはり海外での経験です。
私は色々な国で演奏できる機会であるコンクールや講習会が好きで、勉強していく中でその機会を大事にしたいと思っています。最近では4月末から、エリザベート王妃国際コンクールに出場するため、ブリュッセルに2週間弱滞在していました。結果としては一次予選を弾くのみで帰国することとなってしまい、山積みの課題に一時落ち込みましたが、舞台に立った時の、ホールの響き、聴衆、空気感を思い出せば、言葉に例えられないほど最高に幸せな瞬間だったなと感じます。あの聴衆の温かさ、キラキラと輝いた空気感は、しばらく忘れられそうにありません。各国のハイレベルな若手を間近で聴けたこと、同じコンペティターとして会話できたことも刺激的で、世界を知る良い機会になりました。ホストファミリー(イタリア人のご家族)にも恵まれ、素晴らしい街を堪能し、普段味わえない空気をたっぷりと吸い込むことができ、また必ず行きたい土地、必ず立ちたい舞台がひとつ増えました。

海外に行くことで、日本にいるだけでは得られないインスピレーションが沸き、自分の中の情景や感情の「引き出し」が増えていく感覚があります。そして何故か、海外にいると自然と顔が斜め45度上に、そして両手を大きく広げたくなります。ここ最近は、日本でも空間を広く捉える意識をして生活しています。そうすると自然と、まっすぐひたむきに、自分を信じて着実に歩いていける気がするのです。帰国して、やりたい事が明確で山のようにある…
今が一番楽しいときです。

城戸 かれん Karen Kido
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