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卒業レポート

music

2023.04
上野通明
第44回生 - エリザベート王妃音楽院
卒業後の進路:エリザベート王妃音楽院

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 2015年から8年間に渡りご支援いただき、どれだけ感謝してもしきれない思いです。

 昔から僕の夢は世界中の人々に自分の音楽を聴いてもらうことで(それは今でも変わりませんが)、財団様にご支援いただいたおかげで沢山の思いを実現する事ができ、自分のペースではありますがずっと持ち続けている夢に大きく近づいて来た気がします。

 先ず、奨学生としてお世話になり始めた年にドイツ、デュッセルドルフへの留学が実現し、名チェリストであるピーター・ウィスペルウェイ氏のもとで研鑽を積むことができました。学校での授業は大変興味深く、一番印象に残っているものは一番語学面で苦労した科目でもありましたがMusikwissenschaft(音楽学)で、一学期まるまるバッハのミサ曲について掘り下げたり、音楽史における「音楽と文学」や「音楽と舞踊」の関連性を深く学んだりと充実した学生生活を送りました。師匠のピーターウィスペルウェイからはお世話になった7年間で演奏技術はもちろんのこと、彼のエネルギーとカリスマ性を目の当たりにしたことによってソリストとして生きていく上で何が大事なのかを芯のところでしっかり学ぶことことができた気がします。楽曲へのアプローチの仕方も大変個性的でありながら説得力があり、毎回のレッスンで消化する内容量が多く頭をいっぱいに帰宅するのが楽しかったです。

 ドイツにいる間に江副記念リクルート財団様のご支援のおかげで、様々な場所で行われる音楽祭や講習会にも参加する事が出来、国際コンクールにも幾つか挑戦しました。自分で満足いく演奏ができなかったコンクールもありましたが、ドイツ留学の最後に師匠と綿密に計画を立て、ジュネーヴ国際コンクールという大きな舞台に臨み、優勝と言う信じられない大きなご褒美を頂くことができ、先生やいつも応援してくださる皆様に少しだけ恩返しができた様な気がして本当に嬉しかったです!色々な面で大きな一歩を新しい世界に踏み出せた様な気がする特別な出来事でした。

ジュネーヴ国際コンクール本選にて

 この春にはデュッセルドルフ音大を卒業し現在はエリザベート王妃音楽院にてゲーリー・ホフマンのもとでまた全然違った角度からの音楽へのアプローチの仕方を学んでいます。音楽性は違えど二人の師匠に共通して言えるのは知識の幅が非常に広く、好奇心が強く、他人への思いやりがあり、どちらも人間的にとても魅力的だと言うことです。僕も音楽の事だけを考えるのではなく、好奇心と行動力を持って一生かけて様々な経験を積み、人間的により豊かになれるよう、常に進化し続けていける様、努力を怠らないようにしたいです。

ベルギーのコンテンポラリーダンスグループ”ROSAS”とのコラボレーション

 ヨーロッパで勉強していると世界中から集まった留学生や音楽家に出会うことができ、皆それぞれ異なった文化的背景で育ち、自分なりの生き方を見つけて生きているので、そういった事からも常に沢山の刺激や影響を受けている気がします。

 人に迷惑をかけるほどの自己主張は良くありませんが、自分のやりたい事を持つことが幸福への道であり、一方で人を思いやり助ける事で自分の人生に意味を持たせることができるのだと、この留学生活で学びました。

 これからも江副記念リクルート財団様からご支援いただいてゆく方達にもこの尊いご支援を有意義に活かして、本気でやりたい事をやり、幸せになって欲しいです。僕も今までお世話になった皆様へ感謝の気持ちを決して忘れずに、これからもベストな形で少しずつでもご恩返しができる様ますます精進してゆき、これからは人のために何が出来るのだろうかという事も時々考え、自分らしい人生を歩んでいきたいと思います。長い期間のご支援本当にありがとうございました!

上野通明
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