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小野光希  スノーボードハーフパイプ

スポーツ部門奨学生インタビュー 2023 Vol.2
小野光希  スノーボードハーフパイプ

2022-2023シーズンは日本人女子初のW杯総合優勝、世界選手権銅メダルと大活躍の小野光希さん。活躍の背景にあるものや、大学での様子、家族や友人との日常生活までについてお話を伺いました。

ー 2022-2023シーズンは日本人女性初のワールドカップ総合優勝など大活躍の1年でした。この1年を振り返っての感想を教えてください。

私が想像していた以上に、滑りの内容や順位についてもとても充実した結果でシーズンを過ごすことができ、素直に嬉しく思っています。もちろんワールドカップで優勝できたことの嬉しさと、世界選手権で出し切れなかった悔しさっていう両方を経験して、更にここだけで留まらないように頑張ろうっていう前向きな気持ちで終われたシーズンだったなと思ってます。

ーシーズンが終わって、現在は世界ランキング1位にいます。ご自身が1番成長したと思うことは何ですか?

一番成長したと思うのは、本番に強くなったことだと思っています。大会で予選は2本のチャンスがあって、1本目うまくいかなくても2本目に気持ちを切り替えて、うまく立て直せるようになったっていうのは今までの私にはできなかったことです。そこが本番に強くなったことで、予選だけじゃなく決勝でも、悪天候の中でもいい演技ができたり、 そういった部分はすごく成長できた部分だなと思います。
また、結果につながったのは、いまお話した本番に強くなったこともそうですが、 あとはオリンピックシーズン(北京)にすごく悔しい思いをして、その悔しい思いをしたからこそ、もうあの時の思いをしたくないなって、自分の中でそれをエネルギーに変えられたことがつながってきているのかなと思います。

ワールドカップ2戦、3戦、4戦と連続優勝し、年間総合優勝を成し遂げた


ー 小野さんは、トップアスリートとして世界で活躍されながらも、大学生として文武両道を実践していらっしゃいます。 早稲田大学スポーツ科学部ではどのようなことを勉強されていますか?

2023年春からコーチングコースに進んだので、アスリート以外の視点から、コーチングや アナリストとしての視線・視点から学ぶことが多いです。例えば身体の動作を測定・評価することは、データから見るスポーツを競技の中でも応用できることが多く、新鮮な気持ちで関わることができています。あとは、サッカーなど他の競技をモデルに、メンタルトレーニング論などを学習していく中で知見が増え、新しい発見や実践につながっていると思います。

ー 大学で学んでいることを実践に活かせていることは素晴らしいですね。小野さんは友人や家族など、競技以外での日常はどのように過ごされていますか?

競技以外は本当に普通の大学生っていう感じです(笑)。普通に友達とカラオケに行ったり、ディズニーランドへ遊びに行ったり、バーベキューしに行ったり、本当に普通に過ごしていて、今年の夏は特に充実したオフが過ごせたと思っています。家族とも仲が良いので、先週は家族で旅行に行ってきました。オリンピック前は忙しくて、なかなか家族の時間が取れなかったので、父方の祖母も一緒に連れて行って。
高校生の時は、夏休みが短かったのと、学校自体が勉強に力を入れてたっていうのもあって、夏期講習とかも多かったんです。あとはオリンピック前っていうのもあって、すごく張り詰めた感じで、なかなかゆっくりっていうわけにはいかなかったんですけど、今年は夏休みが2、3か月あるというのが私の中で大きくて。集中して、メリハリをつけて、練習の日は練習、休む日は休むという、上手な時間の使い方ができるようになったので、今年の夏はいい時間の使い方ができているなと思ってます。

インタビュー中の小野さんは終始和やかで、素敵な笑顔を見せてくれました

ー 小野さんはキャリアの中で、多くの海外転戦をこなしています。移動や食事、言語の問題など様々な困難があるかと思いますが、そんな中、どの国・どの場所でもご自身が最高のパフォーマンスを出すためにどのようなことに気をつけていますか?

私は特に睡眠の質に気をつけていて、オフシーズンだと生活リズムが崩れてしまうことや、時差ボケがあるんです。なので、海外に行って大会期間中は、長めに睡眠を取るように意識をしていて、食事より睡眠の方が私の中では大きいかなと思います。

ー 人によっては睡眠より食事を大事にするって方も?

私が以前一緒に回っていたハーフパイプの先輩は、とても食事に気を使われる方でした。もちろん睡眠にも気を使われていたんですが、これは食べないとか自分の中で厳しくやられてる方で。でも私はアイスも食べますし、お菓子も食べたりするので、そこまでは厳しく制限してるわけではないです(笑)

ー 例えばアスリートの方って遠征に自分のマットレス持っていったりする方もいますよね?小野さんは遠征にどのようなものを持っていきますか?

今はそこまではしてないんですけど、最近は自分の枕をそろそろ持っていこうかなと考えています。板が重くてかさばるので、マットレスはさすがに難しいですね・・・。
板も本当は4本持っていきたいんですけど、重さ的にちょっと不可能なので3本ですね。ビンディング2セット持っていって、ブーツも2セットとなると、もうそれだけで20キロとかいってしまって。飛行機に持ち込めるのが23キロまでなので、その他にストレッチポールとかマッサージガンとか、色々持っていってしまうとなかなか難しいんです。

ー 板などの道具を複数持っていくのは、故障や破損に備えてということですか?

それもありますが、あとは天気、やっぱり自然相手の競技なので、急に雪が降ったり急に晴れたり、それによって違うチューニングをした板を2本会場に持っていって、乗り分けたりということがあります。コンディションに対応するためと、壊れたとき用とに使い分けて持っていきます。
板はワンシーズンで多い時は10本くらい使ったりすると思います。消耗するので1年で取り替えるんです。

2022年スイスでの雪上トレーニングの様子

ー 小野さんがご自身の競技キャリアの中で最終的なゴール、目標は何を目指していますか?

競技の中のゴールは、やっぱりオリンピックでのメダル獲得で、その中でもちろん金メダルを目指して努力しています。オリンピックに憧れてハーフパイプを始めたので、そこがやっぱり一番自分の中で目標ですね。北京の時よりレベルももちろん上がっていますし、確実にミラノオリンピックの方がメダルを取ることのハードルは高いと自覚はしてるんですけど、その中でもやっぱりメダルが取れたら、それ以上はないかなと思ってます。

ー この奨学金を目指す学生にはジュニア世代の方も多いのですが、小野さんのように世界でトップを目指す学生アスリートへ最後にメッセージをお願いします。

一番はやっぱりスポーツが好きっていう気持ちと、自分の力を自分が一番信じて頑張っていけることができたら、必ず望んだ結果がついてくると私は思っています。
私自身はすごく臆病な性格で、それに加えてスノーボーダーでありながら、雪が降らない地域に生まれて。スノーボードを始めるにしても、すごく恵まれた環境だとは言えないんですけど、そんな私でもオリンピックに出場するところまできたので、競技に対する熱意を大切にしていたら、絶対に結果はついてくると思います!

小野さんの座右の銘は「好きこそものの上手なれ」 小野さんの今後の活躍を応援しています!



プロフィール
小野光希
2004年埼玉県生まれ2019年私立成立学園高等学校2022年早稲田大学スポーツ科学部

主な戦績
2022年北京2022オリンピック 9位2023年FIS World Cup 総合優勝2023年スノーボード世界選手権 銅メダル
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