2025/12/16

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番を東京フィルハーモニー交響楽団と共演!│橘和美優

2025/12/16

橘和 美優

橘和 美優 Miyu Kitsuwa

私は、音楽は言葉の壁を超えて心をつなぐ力があると信じています。私は、音楽そのものを心から楽しみ、その喜びを演奏を通して届けたいと願います。私にとって「楽しむ」とは、悲しみや切なさを含むすべての感情を深く味わうことです。こ…


今年の10月からパリ・エコールノルマル音楽院に留学した橘和美優さん。この日演奏したのは、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番。オーケストラとの共演を心から楽しんいるような演奏でした。留学生活についてもお聞きしました。初めての海外生活には慣れたかなと、いう心配を吹き飛ばすかのような回答が返ってきました。是非ご一読ください。

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Q1. この日の演奏は若々しく溌溂とした印象でしたが、どんな演奏にしたいと思って臨みましたか? 

まずは何より自分自身が楽しんで演奏することを一番に心がけました。モーツァルトは常に“オペラ的な遊び心”を感じる作曲家なので、その軽やかさや会話のような音楽の流れを大切にしたいと思いました。また、今回はオーケストラとご一緒できることがとても嬉しくて、独奏とオーケストラが対話を交わしながら一つの物語をつくっていくような、そんな音楽にしたいと考えていました。

本番終了後、指揮者の三ツ橋敬子さん、コンサートマスターの荒井英治さんと

Q2. カデンツァでは何を表現したいと思っていましたか?

今回はフランコ・グッリによるカデンツァを演奏しました。このカデンツァは、モーツァルトの純粋さを保ちながらも、ヴァイオリニストとしての自由さや大胆さをのびのびと表現できるのが魅力です。

私自身は、モーツァルトらしさと、自分らしい呼吸や歌いまわしを自然に溶け込ませることを意識しました。

本番に向けたリハーサルの様子

Q3. 一番好きな作曲家はモーツァルトとのことですが、どんなところに惹かれているのでしょうか? 

モーツァルトは、私が初めてオーケストラと共演した作曲家で、特別な思い入れがあります。そして何より、彼の音楽は自分にとって一番“自然に呼吸できる”ような感覚があるんです。

シンプルなのに限りなく深くて、演奏するたびに違う景色が見える。喜びや悲しみ、人間らしさがとても素直に音になっているところも魅力で、ずっと向き合い続けたい作曲家です。
 

Q4. パリでの留学生活が始まりましたが、生活や学校には少し慣れてきましたか?

まだ完全に慣れたとは言えませんが、街を歩くだけで胸が高鳴るような可愛い景色や、歴史を感じさせる建物に囲まれていて、日々の生活そのものがとても新鮮です。

聞こえてくるフランス語やカフェの雰囲気も刺激的で、留学して本当によかったと実感しています。

現在学んでいるパリ・エコールノルマル音楽院


Q5. 留学して2カ月ほど経ちましたが、日本との大きな違いを感じることはありますか?

音楽に限らず、日常生活でも文化の違いを感じる場面はたくさんあります。

フランスでは、人との距離感やコミュニケーションがとてもオープンで、良い意味で肩の力が抜けている気がします。日本の丁寧さや細やかさも素晴らしいですが、こちらでは自分の考えを率直に伝えることが自然に求められるので、新しい視点に触れる機会が多くとても勉強になります。

凱旋門の展望台から望むパリの街並み

 

Q6. 24歳の今、これからどんなヴァイオリニストを目指していきたいですか? 

技術的にも音楽的にも、まだまだ成長したいことばかりです。そのうえで、作曲家の個性や作品の意図をしっかり尊重しながら、自分にしかできない表現を持ったヴァイオリニストになりたいと思っています。

音の奥にある感情や風景を、聴いてくださる方が自然と感じ取ってくださるような、そんな音楽を届けられる人になりたいです。
 

Q7. 今、ヴァイオリン以外で興味のあることやハマっていることはありますか?

最近は少し腰を痛めて休んでいるのですが…笑

実はフラフープにハマっていました!身体作りも音楽にはとても大切なので、また再開できるように体と相談しながら続けたいと思っています。

冬のパリを彩るクリスマスマーケット



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留学して2カ月で「留学して本当によかった!」という橘和さん。その順応力には感嘆します。その能力は音楽にも通じ、どんな場面でも、どんな曲でも、心から演奏を楽しむことができ、それがまた聴き手にも届くのだと思います。お話しているとにこやかな笑顔に引き込まれますが、演奏家には不可欠と思われる芯の強さも感じ、これからの成長が楽しみです♪♪


橘和美優

日時:2025年11月29日 15:00
会場:タクトホームこもれびGRAFAREホール

指揮:三ツ橋敬子
ヴァイオリン:橘和美優
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

◆プログラム
フレッシュ名曲コンサート
「運命」きらめく華々の饗演
モーツアルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲
モーツアルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67『運命」