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橋岡 優輝 インタビュー│東京2020オリンピック

世界での活躍を目指し、ハードなトレーニングを積み重ねてきたスポーツ部門奨学生/助成対象者がこの度晴れてオリンピック代表に選出されました。競技やオリンピックにかける想いについて、他部門奨学生がインタビューを実施しました。

 

提供:富士通株式会社

 

橋岡 優輝


第49回生 個人助成対象者

●出場種目
7月31日│陸上競技男子走幅跳予選
8月2日│陸上競技男子走幅跳決勝

 

 

 

東京オリンピック走幅跳日本代表の橋岡優輝さんにインタビューさせていただきました。インタビューしたいと思ったきっかけは、3年ほど前に遡ります。私はコスタリカに留学しており、なかなか上手くいかず落ち込んでいたある日、母から橋岡さんの試合の動画が送られてきました。力強い助走と、まるで空を飛んでいるかのような跳躍に、国境を越えて元気をもらったのを今でも覚えています。

インタビューは、橋岡さんがオリンピック出場を決めた日本選手権に関する質問から始まりました。2回のファウル後、3回目のジャンプを決めないと出場を逃すという追い詰められた状況にいた橋岡さん。試合中継の画面越しには、涼しい顔でいたかのように見えましたが、「”やっちゃったな〜”というのが正直なところでしたね」と笑いながら本音を教えてくださいました。やんちゃ坊主のような笑顔に一気に惹きこまれた瞬間でした。結果、その3回目で大会記録更新8m27のビッグジャンプを決め、見事に代表の座をつかんだ橋岡さん(6回目の跳躍で8m36、自己ベスト更新)。その勝負強さに迫りたい!と、ワクワクしながらインタビューが始まりました。

【インタビュアー:学術部門48回生 筧 路加
ペンシルベニア大学所属。化学を専攻し、栄養学を副専攻として学ぶ。趣味はスポーツ観戦。培養肉を研究する傍ら、スポーツ栄養学の資格獲得に向けて勉強中。東京オリンピックでは、ボランティアとして近代五種を担当予定。

ーースポーツにはいろいろな競技がありますが、橋岡さんにとって、走幅跳にしかない魅力は何だと思いますか?

橋岡 :走ってきて遠くに飛ぶという、一見単純な動作に見えますが、実はいろいろなものが求められます。繊細さであったり、技術であったり、純粋な走力などのフィジカルであったりと、多くのものが求められる難しさが魅力だと思っています。一言で言うと、”単純がゆえに難しい”のが、走幅跳の魅力です。

ーー今まで、競技に関して、辛くて泣いた経験はありますか?もしあれば、どのように気持ちを切り替えられましたか?

橋岡 : 泣いてはいませんが、高校1年生で走幅跳を始めたての頃は辛かったです。競技の技術に関しては右も左も分からず、顧問の先生から指導を受けている際に、「何を言っているのだろう?」と感じることが多々ありました。自分のできなさに腹が立ち、とても苦労しました。競技を辞めたいとは思いませんでしたが、すごく落ち込んだのを覚えています。

それでも、自分はできないまま終わるのが凄く嫌な性格です。競技から離れるのではなく、もっと深く自分で考えてみようと、さらにのめり込むような形で練習しました。また、落ち込んだ時はいったん気分は下がりますが、大体寝たら大丈夫というところはありますね。

走幅跳で戦っていこうと決めたのは、高校2年生の10月に開催された、U18の日本選手権です。記録も出て、もっと世界で戦っていけるような選手になりたいという思いが、より明確になりました。

ーー日々の食事で気をつけているポイントは何ですか?

橋岡 : 1週間のスパンでバランスをとるように心がけています。ある1日で偏った食生活をしてしまったと感じたら、1週間のうちでバランスを正そうと考えています。

1日1日で深く考えすぎてしまうと、自分は食事ばかりに気を取られてしまいます。1日よりは少しルーズな、1週間という期間で見ることによって、バランスの取れた食生活を続けられるのかなと思っています。朝昼晩の中では、練習後の夜ご飯が一番楽しみです。昨晩は、チキン南蛮と一口カツを食べました。

ーー東京オリンピックでは、自分のどのような部分に注目して欲しいですか?

橋岡 :走幅跳は、誰もが体育などで経験したことのある種目だと思いますが、8mという数字は実感が湧かないのではないでしょうか。実は、小学校の教室の横幅が8mくらいだそうです。それを超えて、さらに争っていく種目だということを、頭の中に入れてもらった上で観戦してもらえるとより一層楽しんでもらえると思います。

ーー最後に、東京オリンピックでの目標を教えてください!

橋岡 : 自国開催ですので、さらに注目される舞台になると思います。しっかりとメダルを獲得して、恩返しになるような、良い結果を残したいです。

写真:左/橋岡 優輝 右/筧 路加

 

【インタビューを終えて…】
インタビューの最後に、東京オリンピックまでのスケジュールや練習計画を伺ったときのことです。橋岡さんは、笑みを浮かべて、「いつも通りの試合に向けた調整のような感じです。」と言い切りました。ここに、橋岡さんの強さを垣間見たように思います。大舞台である東京オリンピックを、普段通りの試合と同じように位置付けられる、揺るがなさ。また、「”自分らしい”調整をしたい」ともおっしゃっていました。

これまでの努力を力と勢いに変えて、助走をし、そして踏み切った後、橋岡さんにはどのような光景が見えるのでしょうか。きっと、競技人生の中で、東京オリンピックは通過点でしかないのだと思います。それでも、その跳躍が、橋岡さんをさらに高みへと連れていってくれることを願っています。橋岡さん、応援しています!

(取材日:2021年7月8日 文:学術部門 筧 路加 )


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