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辻彩奈さん
(ヴァイオリン)

辻彩奈 ヴァイオリン・リサイタル

2019.6.15(土) 15:00
練馬文化センター 小ホール

◆プログラム
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第6番 イ長調 op.30-1
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 op.30-3
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第2番 二短調 BWV1004より「シャコンヌ」
ショーソン:詩曲 op.25
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 FWV8

この日の辻彩奈さんのヴァイオリン・リサイタルはベートーヴェンで始まりました。そして後半はシャコンヌから。どの曲もすべてが今日のハイライトかと思うような渾身の演奏。この日の曲目に関する思い入れや、9月からの留学に関する意気込み等を伺いました。辻さんの個性が垣間見れる興味深い回答をいただきました。

Q1. 今日のリサイタルの前半はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタでした。最近よく挑戦している曲目とのことですが、ベートーヴェンの曲は辻さんにとってどんな曲でしょうか。 

ベートーヴェンの作品は、来年生誕250年ということもあり、最近よく挑戦しています。

昔はとても難しくて堅いイメージでしたが、ソナタやコンチェルト、室内楽などいろいろな分野の作品を取り組むようになり、今は力が抜けて自由に演奏することができるようになりました。自分にとって難しい作曲家であることは変わりありませんが、勉強するほど様々な発見があります。

最近、いろんなピアニストの方とベートーヴェンのソナタを共演させていただく機会ができてきて、ピアニストによって自分から出てくる音も変わっていることが実感できて、とても面白く感じています。 

©練馬文化センター

Q2. 後半には、ヴァイオリン独奏で、シャコンヌを演奏されました。ヴァイオリン一台で荘厳な曲を演奏する難しさ、楽しさはどんなものでしょうか。 

先日1月に、宗次ホールと紀尾井ホールにて、バッハ 無伴奏ソナタ&パルティータ全曲演奏会に挑戦しました。もちろん自分にとって初めての挑戦でしたし、21歳という若さで1日でバッハの無伴奏を全曲弾くことをしていいのか、という迷いや不安もありました。

実際の本番では、全て暗譜で演奏することや舞台上でたった1人だけ、ということへの緊張感や恐怖で押しつぶされそうになりましたが、無事に弾ききることができました。また、1人でバッハを全曲弾いたことで、たくさんの発見や勉強がありました。その時は、シャコンヌを最後に持ってくるようにプログラムを組んでいたので、シャコンヌには特に強い想いがありました。

その経験からバッハの無伴奏作品がとても好きになり、よくリサイタルでも取り入れるようになりました。会場の空気感など全てを1人で創り上げることは大変ですが、様々な音色や和声感をバイオリン1本で出せることへの喜びを感じます。 

©練馬文化センター

Q3. 9月からフランス・パリにあるエコール・ノルマル音楽院に留学されるそうですが、何故エコール・ノルマル音楽院を選ばれたのですか。 

レジス・パスキエ氏に師事したいと思い、彼が教えていらっしゃる学校がエコール・ノルマル音楽院でした。 

Q4. エコール・ノルマル音楽院のレジス・パスキエ氏に師事されたいとのことですが、レジス・パスキエ氏はどんな演奏家で、何故彼に学びたいと思われたのでしょうか。 

彼には中学1年生の時から8年間、「いしかわミュージックアカデミー」にて毎年レッスンを受けていました。最初の年から彼のレッスンはとても楽しく受けていたのを覚えています。自分のレッスンだけではなく、他の受講生の彼のレッスンも聴講に行きました。

彼には、たくさんのアイディアの引き出しがあるように感じています。そのアイディアをもっとたくさん知りたいと思い、彼に師事したいと思いました。また、彼自身が奏でる音楽や、彼の親切な人柄にもとても惹かれて、ぜひ彼と一緒に勉強したいと思いました。

Q5. もうすぐ始まる留学にむかっての意気込みをお願いします。  

9月から初めての留学を経験します。もちろん技術的なことや音楽的なことはたくさん勉強したいですが、それだけではなく、留学を通して音楽以外の文化にもたくさん触れて、人間的にも成長できたらいいなと思っています。

ひとつひとつの機会や出会いを大切にしながら、これからも挑戦者の気持ちを忘れずに頑張っていきたいです! 

Q6. これまで、数々の舞台を踏み、沢山のアーティストと共演し、様々な経験を積み、自信を付け、大きく飛躍されていると思います。ご自分ではどのように感じていますか。 

私は昔から人前でヴァイオリンを弾くことが好きでした。

好きなことで、こうしてたくさんの音楽家の方々と出会い、共演し、たくさんのお客様に聴いていただける。いつも本番のステージの上で、大きな喜びを感じています。今までたくさんの場所で、たくさんの素晴らしい音楽家の方々との出会いがありました。自分にとって全てが素晴らしい経験で、こうしてたくさんの経験をさせていただけることを本当に嬉しく思っています。

いつも本番のときは本当に緊張しますが、ステージに出て行く瞬間はこれからもずっと好きなんだろうなと感じます()  

Q7. 5月のGW中に毎年開催されているラ・フォル・ジュルネでは1日スタッフボランティアをされたとのこと。演奏会の裏側はいかがでしたか。新しい発見はありましたか。 

デスクに来る音楽家の方たち皆さんにビックリされました()でもそのおかげでたくさんのアーティストの皆さんに会えましたよ!

いつもは演奏する側しか知らないけれど、ひとつのコンサートや音楽祭を作り上げるには本当にたくさんの方々が携わっていて、そこにはたくさんの仕事があって、それぞれのスタッフの皆さんが一生懸命頑張ってくださっているから、こうして私たちが演奏することができるのだなぁと改めて感じました。

また、4月には、スイス・ロマンド管弦楽団とのツアーで東京、名古屋、大阪と4回のコンサートがありました。ツアーを通して、マエストロやオーケストラの方たちはもちろん、ステージスタッフや運搬のスタッフの方、ホテルや旅行の関係の方、ホールや主催者の方など、たくさんの方と一緒にひとつのコンサートを作り上げることができたことに、とても感動しました。

特に日本は環境が整っていていつも気持ちよく演奏することができますが、様々な経験を通して、コンサートを作っている側の方たちへの感謝の気持ちを改めて持ちました。とても楽しい経験になりました! 

Q8. ぽっかり時間が空いた時は、何をされていますか。 

ジムに行って運動することもありますし、最近は1人で映画を観に行くことが増えました。美味しいものを食べに行くのも好きですね。

リフレッシュして、また頑張ろうと思えます!

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

辻さんの回答を読んでいると、演奏と同じように大きなエネルギーを感じます。

人前で演奏することが楽しい、色んな経験を積めることが嬉しい、挑戦したいこと、目指したいことがたくさんある。いろんなことに挑戦し自分の引き出しを広げたい。常に前向き。身体中から発散されるエネルギーが目に見えるようです。どこまで飛躍するのか楽しみです🎻