2025/07/11

2025/07/11

山本佳唯

山本 佳唯 Kai Yamamoto

15歳からシンガポールのプロサッカーチームに所属し、将来は国際的なステージで活躍できるゴールキーパーになることを目指しています。そのために、進学予定の米国カーネギーメロン大学では、NCAAトーナメント(全国大会)での優勝…

江副記念リクルート財団の奨学生に選ばれた時、自分には明確な目標がありました。
それは、プロサッカー選手として最高のレベルを目指すことでした。その中で、米国の大学サッカーに挑戦できる機会を得たことは大きな前進であり、卒業後のプロキャリアに向けた準備として、必要な施設や環境、そして競争の場を提供を受け、この高い目標に挑戦することができたのはリクルート財団のスカラーシップのお陰でした。

財団の支えによって得た自信とモチベーションは大学生活が始まる前に、すでに結果として現れていました。出会った奨学生たちの話や、財団からのサポートは大きな励みとなり、前向きにサッカーに取り組む力をくれました。その影響はすぐに表れ、シンガポール・プレミアリーグでプロデビューを果たすことができ、さらに、アジアのトップクラブであるマレーシアのJDT FCとの国際親善試合にも出場し、大きな経験を積むこともできました。これらの経験は、自信と向上心をさらに強めるきっかけとなりました。



その後、アメリカへ渡り、学生アスリートとしての次のステージが始まりました。サッカーと学業の両立を目指し選んだ大学でしたが、新しい国、新しいチーム、新しい指導スタイル、学業の厳しさ、すべてが初めての連続でした。さらに怪我にも苦しみ、簡単なスタートではありませんでした。

それでも、あきらめずに挑戦し続けました。新しいプレースタイルに順応し、コーチやチームメイトの信頼を得るために日々努力を重ねました。また、他の奨学生のレポートを読み、自分もレポートを書くことは、自身の進捗を客観的に見つめ直す貴重な機会になりました。それがモチベーションにもつながり、うまくいかない時でも前を向き続けることができ、結果として、チームの正ゴールキーパーの座を勝ち取り、シーズン中はUAAカンファレンスで複数の最優秀守備選手に選ばれ、また、クリーンシートやセーブ数でもリーグ上位の成績を残し、目標としていた成果を一つ一つ形にすることができました。

ただし、こうした結果は本来の目的に向かう途中経過にしかすぎません。本当の目標は、チームを全米大会に導き、優勝を目指すこと。それが常に掲げている基準であり、今も日々の努力の指針となっています。今年はその目標には届きませんでしたが、チームとしても個人としても、良い方向に進んでいるという確かな手応えがあります。来シーズンに向けた準備として、現在はピッツバーグのプロサッカーチーム、Steel City FC(USL2)でプレーしており、全米から集まるトップ選手たちとともに、自分のレベルをさらに引き上げたいと思っています。プロへの道、そして全米優勝への思いを胸に、日々のトレーニングに取り組んでいます。



サッカーが中心である中でも、学業の課題にも真剣に取り組んできました。学業が厳しい大学でありながらダブルメジャーを進める中で、時間管理と継続力を身につけることができました。フィールド上での集中力や考え方にも良い影響を与えており、すべてが相互に結びついていると感じています。アカデミック・オールアメリカンの受賞を目標に据えながら、今年度はUAAカンファレンスにおいてアカデミックの表彰を受けました。

また、大学生活をより充実させるために、専攻する学問に関わる投資やコンサルタント等のクラブへの参加も積極的に務めました。これまでに6つの団体に所属し、うち2つでは創設に関わり、さらに2つでは幹部として活動しています。異なる環境や人との関わりから得られた経験は、ピッチ上での判断力やリーダーシップにも活かされており、自分自身の成長に確かな手応えを感じています。

この経験を通じて一番大きく学んだのは、「常に何かを学べる姿勢」を持つことの大切さ。日々の会話、練習、活動のすべてに学びの要素があり、それを自分の中に取り込むことで成長につながる。そしてもう一つは、プレッシャーの中でこそ本当の成長があるということ。怪我からの復帰、新しいシステムへの適応、大一番でのプレー。どれも簡単ではないが、だからこそ得られるものがあります。困難の中にある学びを信じて、今後も自身の目標に向けた挑戦を続けていきたいと思います。