――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
私の将来の夢は、アメリカンフットボールの本場であるアメリカで「日本人初のNFL選手」になることです。現在、日本人選手は野球のMLBやバスケットボールのNBAで活躍していますが、NFLでプレーした日本人選手はいません。この未踏の分野に挑戦するため、日本での活動だけではNFL選手になるのは難しいと考え、本場のカレッジ強豪校で活躍し、NFLのチームやコーチにアピールする必要がありました。そのため、アメリカの大学アメフト1部リーグ(NCAA DIV-1)テキサスの強豪校に留学しています。
アメリカンフットボールを始めたのは、家族の転勤でテキサス州ヒューストンに滞在していた中学1年生の時です。友人の誘いやアメフト部コーチの体育教師に適性を見込まれてチームに勧誘されました。
ルールをよく理解しないまま出場した最初の試合では、チームの全得点となる30点を挙げ、チームを勝利に導きました。試合当日、チームメイトに祝福され、翌日には全校放送でゲーム結果と活躍が紹介されました。転校生の日本人で英語もまだ不慣れな中、校内で話題となり一躍有名人になりました。この成功体験が、アメフトの最高峰であるNFLを目指す第一歩となりました。
(競技成績)
2017~2020年 アメリカのテキサス、シカゴの中学、高校の3チームでプレイ
2022年 帰国後アメリカンフットボール 全国大会優勝(クリスマスボウル)佼成学園高校
2023年 早稲田大学 関東TOP8リーグ
2024年 アメリカ テキサス州 Lamar Universityへ留学 Lamar Cardinalsへ加入
2025年 アメリカ テキサス州 Lamar University 現在6連勝中 カンファレンス1位
――日常生活、生活環境について
アメリカのテキサス州にあるLamar Universityで、NCAA Division 1(全米体育連盟1部校)でプレイしています。
チームメイトは、テキサス州内の強豪高校や全米各地のアメリカンフットボールエリートです。アメフトの1部校に入部できる選手は、アメリカの高校選手の1%未満であり、厳しい競争を勝ち抜いた選手たちで海外からの留学選手が加入するのは大変難しい現実もあります。
また、アメリカのNCAA所属校では、勉強の成績が一定のレベルに達していないとチーム活動に参加できない厳しいルールがあります。これは外国人にも例外はなく、英語環境の中で文武両面に取り組んでいます。因みに、日頃の図書館は午前2時まで、テスト週間は24時間開いている環境でアスレチックだけではなく、勉強の環境も日本の大学とは異なります。
シーズンの公式試合は、8月末から11月までの間に12試合行われます。シーズン中は、土曜日の夕方に試合があり、相手校での遠征試合になる場合は、飛行機やバスで移動し、金曜日に出発、土曜日に試合、日曜日に戻るような生活となります。その遠征中にも日頃の宿題をこなし、テストに備える必要があります。
また、チームのヘッドコーチやポジションコーチは経験豊かなプロのコーチであり、彼らの指導のもと、日本にはない専門的な練習施設で練習を積んでいます。
平日は、月曜日から木曜日まで、朝5時に起床し、6時から筋力トレーニングを行います。その後7時からチームミーティングがあり、そこからポジションごとのミーティングになり、練習の反省やアサイメントの整理を行います。8時半から全体練習があり、2時間半ほどで練習を終えます。
午後からは授業の時間となり、マーケティングのクラスや経済学、会計学など様々な科目を学び、教養を深めています。夕方には短いポジションミーティング(相手のスカウティング)を行います。夜には宿題や相手のスカウティング、ストレッチを行い、次の日の練習や試合に備えます。このようなタイトなスケジュールの活動を英語環境で行うことになります。
忙しい日々の中でも、どのような意識でその時間を過ごすかによって、1日の価値が変わると感じています。普段から毎日少しでも成長すると考えるのと、今日も難なくこなしていこうと考えるのでは、成長曲線がとても異なると思います。そのため、自分は今ある日常生活の中でどれだけ日々成長できるかを考えて生活しています。
――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること
NFLに行く夢を達成するためには、さまざまな要素が必要です。
まず第一に、NCAA Division 1の大学で試合に出て活躍し、アメリカのトップ選手に勝つための体力とスピードを維持するトレーニングが求められます。
私は毎日、昨日の自分を超えることを意識し、NFLに行ける選手として相応しい体、スキル、そしてメンタリティを鍛えています。
日々の取り組みとしては、週の終わりに1週間を振り返り、改善点や成長できる点を見つけることで、今の自分よりも何段階も上に進むことを目指しています。
気をつけていることは、長期的なゴールに対して考えすぎて、日々の努力をおろそかにしないことです。1日1日の努力が積み重なり、大きな結果につながると信じているので、毎日全力で生活しています。
――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負
今シーズンの抱負としては、チームとしてカンファレンス優勝を目指しています。現在、私たちは6連勝中で、カンファレンスの現時点で1位をキープしています。残り5試合を全力で取り組む所存です。
個人としては、優勝チームで活躍し、自分をアピールできるよう日々努力していきたいと思います。また、怪我のないシーズンを過ごし、チームをさまざまな面から引っ張っていける存在になりたいと考えています。



