――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
私の将来の目標は、コンピュータサイエンスと生物学を融合させて、がんをはじめとする病気の解明に貢献することです。研究に興味を持ったきっかけは、高校時代のコロナ禍に新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の研究に取り組んだことです。その後もDartmouth附属病院でVISTAというタンパク質の研究を行い、研究にはうまくいかないことやわからないことが多いからこそ、自分で考え続けられる面白さがあると感じました。プログラミングの経験はほとんどありませんでしたが、もともとエンジニアリングの問題へのアプローチの仕方や解決策の立て方が好きだったこともあり、コンピュータサイエンスと生物学の両方を Joint Major として学べるMITを目指しました。
――日常生活、生活環境について
現在はComputer Science and Molecular Biology(Course 6-7)を専攻し、がんセラピーや化学ラボの授業と並行してアルゴリズムやプログラミングの授業を受けています。生物学や情報学の基礎知識を増やすだけでなく、物事を深く考える思考力や、研究に伴う倫理的な視点も含めて学べることが、今の環境の面白さだと感じています。研究では、MITとHarvardが運営するBroad InstituteのUhler Labで、腸内細菌叢データのGraph Neural Network解析による大腸がんのバイオマーカー発見に取り組んでいます。さらに、Harvard T.H. Chan公衆衛生大学院では、若年発症がんの増加傾向についての研究を続けています。
放課後はMITで最も歴史のあるアカペラグループLogarhythmsのリハーサルがあることが多いです。夜10時から12時まで練習する日も多く、その時間にちなんだ「Ten to Midnight」というアルバムをSpotifyでリリースしているほどです。ハードではありますが、その分、かけがえのない家族のようなコミュニティになっています。また、日本人学生会の会長として新入生向けのランチ会を企画したり、Club Soccerで体を動かしたりしています。忙しい毎日ですが、体調管理に気をつけながら、勉強と課外活動の両立を心がけています。
――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること
夢の達成に向けて心がけているのは、毎日何か新しいことを学び、挑戦を続けることです。それは研究でも授業でも、友達との何気ない会話でも構いません。昨日の自分が知らなかったことを一つでも吸収できれば、その日は前に進めたと思うようにしています。また、優秀な仲間に囲まれる中で、周りの学生から学ぶこと、わからないことを恐れずに質問することを大切にしています。さらに、最近はTAとして線形代数や化学、統計学の授業を手伝っています。TAとして教える経験は、自分の理解を試し、さらに強化する機会になっていると実感しています。
同時に、がんという病気を科学の面だけでなく、あらゆる側面から理解したいと思っています。2年生のときに受けた「The Long War Against Cancer」という授業では、がんに対する理解や社会の受け止め方が時代とともにどう変化してきたかを学び、過去の知識にとらわれず前提を問い直すことの大切さを教わりました。がんを一つの公衆衛生上の課題として捉え、医師、患者、政治家、納税者、製薬企業など、さまざまな立場から病気を見る視点の重要性にも気づかされました。さらに前学期に受けた「Cancer Therapeutics」の授業では、今まさに臨床試験が進められている最先端の治療法について、毎週新しい論文を読みました。研究の最前線でどのようなことが起きているのかに直接触れることができ、とてもわくわくする授業でした。特に「予防と治療のどちらにより力を注ぐべきか」「どの時点で治療が有益と言えるのか」「ある治療法が実際に使われるための基準は何か」といったテーマを毎週議論したことで、がんには科学的な難しさだけでなく、倫理的な問いも深く関わっていることを実感しました。
――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負
来年度はMITでの最後の一年になります。後悔のないように、今いる環境での時間を大切にしながら、充実した一年を送りたいと思います。また、このような環境で学ぶことができているのは財団の皆様のサポートのおかげです。いつも支えてくださり、本当にありがとうございます。



