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周防亮介さん
(ヴァイオリン)

周防亮介 ヴァイオリン・リサイタル

2020.7.26(日) 15:00
美竹清花さろん

ヴァイオリン:周防亮介
ピアノ:仁田原祐

◆プログラム
シマノフスキ:神話ー3つの詩 作品30
J.S.バッハ:シャコンヌ(無伴奏パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004より)*ソワレ
エルンスト:夏の名残のバラ*マチネ
サン=サーンス/イザイ編:ワルツ形式のカプリス 作品52-6
グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 作品45

生の演奏を聴いたのは4か月振りでしょうか。周防さんも数々の演奏会が中止になり、特別の思いがあったのだと思います。大好きな大切にしている曲を選んだとのこと。超絶技巧の大曲もあり、このリサイタルに込めた思いを感じる演奏でした。

周防さんも8月末にはスイスに戻られ、学校での授業やマスタークラスなども始まっているそうです。以前に住んでいた環境に戻ったわけですが、少し違った感覚があるのではないでしょうか。自粛生活からスイスに戻ってからの生活まで、どんなことを感じていたのか聞いてみました。

 Q1.数か月振りにお客様を前にしての演奏会が決まり、どのようなお気持ちでしたか。当日はどんな演奏をしたい、何を伝えたいと思い準備されましたか。 

2月末の演奏会を最後に約4ヶ月ぶりにお客様の前で演奏させていただく事になり、今までにない緊張感と喜びでとにかく楽しみに公演の日を待っておりました。

そして、まだまだ不安な状況のなか演奏会にお越しくださるお客様のお気持ちに心より感謝し、当日は演奏を通じて現実を忘れ、生の音と共に音楽に浸っていただき、新たな活力となっていただけることを願いながら演奏することに集中したいと思いました。

美竹清花さろん様ご提供

Q2.実際にお客さまを前に演奏されている間、どんなことを感じながら演奏されていましたか。

お客様からも久しぶりに演奏会を聴きに行くことに楽しみと期待がいつもより増していると伺いましたが、そのお気持ちがすごく伝わってきましたので本番は集中することができ、ただただ無心でお客様に演奏をお聴きいただける幸せを噛み締めていました。

Q3.コロナウィルス感染拡大防止のため演奏を披露する機会がなかなかなかったかと思います。自粛生活をどのように過ごし、どのようにモチベーションを保ってきましたか。また、逆に新たなひらめきや発見がありましたか。 

気持ちが落ちてしまうこともありましたが、それでもとにかく何事も前向きに考えて、これまで目の前の事て追われてきた為に疎かになったことや、やり残していることなどに時間を使いました。

新しい曲の譜読みや、それに関わる勉強など自分にとっては貴重な時間でした。

音楽はもちろん、生活する中でも新たに気づいたことが多々あり、これからの演奏に生かしていきたいと思っています。 

Q4.ポストコロナとかウィズコロナとか言われていますが、今後はどのような演奏活動になっていくとお考えですか。日本と海外の現状は異なっていますか。 

演奏会も再開されているとはいえ、まだまだ以前のように戻ることは難しいのではと思いますが、留学先のスイスでは今年中止となったメニューインフェスティバルの新しい試みで野外で演奏するコンサートなどがあり、そのようにいろいろな方法で音楽を聴いていただくことを探している状況のように思います。

インターネットを通じての演奏もこれからは増えていくと思いますが、どのような形になっても自分自身が目指す演奏に変わりはありません。

Q5.6か月振りにスイスに戻られていかがでしたか。メニューイン国際音楽アカデミーの先生方やご学友、ホストファミリーの方々との再会はいかがでしたか。 

アカデミーの先生方や友達には日本に滞在していた時もオンラインで会っていましたが、久しぶりに直接レッスンが受けられたり、友達とも以前のように一緒に室内楽をしたり、出かけたりすることができることはとても新鮮でとにかく嬉しかったです。

どの国も大変な状況ですが皆んな元気で再会でき、また一緒に学べることに感謝するばかりです。 

メニューイン国際音楽アカデミーの室内楽コンサート

Q6.スイスでの授業やマスタークラス、演奏会はやはりこれまでとは違った形態で行われているのでしょうか。日本との違いを感じますか。 

マスタークラスもレッスンも今まで通り変わらず行われています。先日行われた学校の夏季講習には日本を含むたくさんの国から受講生が参加していました。

もちろんこれまでのような大人数での室内楽はなくなりましたが、それでもみんなあまりマスクを付ける事もなく、校内でも以前と変わらず普通に過ごしていますので、日本とは感染症に対する考えも受け止め方も大きく違うように感じています。

日本から戻ってきた身としては少し心配していますが、健康でいられるよう自分でしっかりと気をつけて生活していきたいと思います。

ガボール・カターチ氏のマスタークラス


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生の音を聴いてもらえる喜びを全身で感じながら心を込めて演奏するアーティスト、そして久し振りに生の演奏を聴き、待ちわびていたこの時を静かに味わう聴き手。両者の気持ちが相乗効果となり、この時間は特別な時間だったように思います。

厳しい状況からこそ新しいものが創造されるといいます。周防さんも自粛生活の中で新たな発見もあったとのこと。これから少しづつ演奏の機会も増えていくでしょう。これまでと違った周防さんを発見できるかもしれません。楽しみです🎻