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第50回リクルートスカラシップ年次総会 理事長挨拶

 


皆さんお元気ですか。特にアメリカの皆さんは(時差で)大変な時間だと思いますが、大丈夫でしょうか。

今年でリクルートスカラシップは 50年目を迎えました。新たに13名の奨学生を迎えています。本当におめでとうございます。この50年の間に703名の奨学生をお迎えして、世界でずば抜けた活躍を目指す学生の皆さんを応援してきました。これから是非同じ分野で、あるいは分野を超えた皆さんで切磋琢磨していっていただきたいと思っています。

今回も、2年連続オンラインの開催になりました。初めに学術部門の医学生であります島戸さんと貴島さんから、コロナ禍におけるイギリスの諸制度 や他国との比較など、医学生として対応された貴重な経験をお話いただきました。私自身本当勉強になりまして、今度また是非フォローアップのミーティングをお願いしたいなと思いました。その後交流セッションがあり、グループ毎にわかれて議論されました。発表を聞いていて私は楽しかったのですが、皆さんも色々刺激を受けられたなら良かったなと思っています。そしてアートの選考委員であります秋元先生から講演をいただきまして、短い時間でしたけれども、質問も沢山いただき、多くの気づき をいただいたと思っています。

私自身、先日経済界での初等教育に関する試みの中で、各企業が所有する絵画を集めて小学校で、授業することを実施しました。すると小学生がその絵を見て、自分の感じたことを自分の言葉でどんどん発言するようになるのですよ。正解のない時代で、ビジネスにおいても自分の感性を大切にしながら形にしていくのはすごく大事で、本当にアートというのは初等の教育にも本当に重要だなと改めて認識したのを思い出しました。有難うございます。

最後に阪田さんの自作の 曲を聞かせていただいて、本当に(奨学生の)ムードメーカーであった阪田さんが卒業するのは寂しいのですが、新たに旅立ちということでこれからも応援し続けていきたいと思っています。

おそらく本日の総会が、オンラインのみの開催となるのは最後になるのではないかと、来年はきっとハイブリットかリアルでの開催になるのではないかと思いましたけど、とても記憶に残るオンライン総会であったなと思っています。

私自身はリクルートホールディングスという会社の社長で、来月(2021年4月)会長になるのですが、世界中の企業と人材のマッチングビジネスを展開してきました。今、産業界から世界を見ますと、人類の英知によって、例えばワクチン開発とかそのデリバリーや、大量の検査というこの医療の体制、あるいはテクノロジーによるデータ解析など、そういった包括的なパッケージの戦略によって、コロナの収束に向けて世界全体がスタートを切っていると思っています。特にアメリカは、ワクチン接種が40%程度で、あっという間に100%にいきそうです。レストランは新店ラッシュになっていまして、失業率も昨年の春から毎月改善され、今年の年末には、コロナ前のあの景気の良かった時代の失業率に戻ると言われているほど、経済も回復してきています。日本だけは、先進国の中でやや遅れており、感染者数は低位安定しているのですが、経済の回復力はまだ弱い状況です。ただ、もう欧米諸国は全般的に回復状況に向かっていっている、実業界から見るとそのような見方になっています。

自分自身も、自社のビジネスを通じて、この危機をいかに乗り越えていくかということをこの1年間ずっとコミットメントしていました。コロナ禍において職を失った方々のサポートやエッセンシャルワーカーの採用に関して貢献できたことを大変誇りに思っています。産業界、実業界全体として技術 を通じて、危機を乗り越えつつある状況をとても嬉しく思っています。まだ乗り越えたとは言えませんけれど。同時に、昨年の総会でもお話しましたが、この間、スポーツ、アート、器楽、学術研究、そういったものが本質的な人間のクオリティオブライフにとっても必須なものだということが明らかになったこの1年だと思っていまして、そういったことに気づけたことも、人類にとって良かったのではないかと思っています。

そして現役の奨学生の皆さんに置かれましては、この1年本当に大変なご苦労があったと思います。学術では、研究室の入室の制限などがあり研究が遅れたということも聞いていますし、アートにおいても作品の制作に制約が生じ、器楽においても、様々なコンクールやコンサートが延期となりました。スポーツにおいても、もちろんオリンピック延期もありましたし、様々な国際大会が中止になって、本当に大きな制約にご苦労があったと思っています。その中で皆さん1人1人が本当に努力されて、モチベーションを維持されてきたと思います。

そして学術では徐々にオンラインからハイブリッドの授業になって、研究室も再開されていく中で、この1年間で自ら様々なチャレンジを設定して臨んでいった奨学生も数多くいらっしゃいました。アートにおいても制約を逆に前向きに捉えて、皆さんバーチャル空間での制作とか展示にチャレンジされたと、そういうレポートも沢山拝見してきました。器楽でも、中止されていた大会の再開の目途も立ってきていて、例えばエリザベート王妃国際コンクールが5月、ショパン国際ピアノコンクールが7月から予選会が開催されるという発表がありました。奨学生の皆さんも複数チャレンジされますので、是非頑張っていただきたいと思っています。そしてスポーツにおいては、既に4名のオリンピックの内定者が出ておりまして、自転車の梶原さん、トランポリンの森さん、セーリングの小泉さん、ライフルの平田さん。本当におめでとうございます。オリンピックについても海外の一般客受け入れは断念という方向ですけれども、開催に向けて、国内においての観客上限を4月中にも検討するというような見込みも立っているので、もう一歩ずつ進んでいるのではないかというふうに思っています。コロナ終焉には完全には至ってはいませんけど、徐々にですが、ニューノーマルに向けて社会全体の動き始めているのではないかと思っています。

そんな中で、改めて財団としましては、皆さんが今できること、今すべきことに集中していただきたいと思いますし、そこを是非サポートしていきたいと思っています。
阪田さんがふるさとを弾いてくださいましたが、日本人の心と言いますか、そういう皆さんの、いつでも戻ってくるふるさとでありたいなと思っています。何でも財団のスタッフに相談していただきたいなと思っています。これからのご活躍ずっと祈念しております。

また本日、選考委員初め、財団の関係者の皆さん、ご参加有難うございました。引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

本日は有難うございました。

2021年3月28日

公益財団法人江副記念リクルート財団
理事長 峰岸 真澄