2021/05/12

ナップ ダニエル 活動レポート

2021/05/12

ナップダニエル

ナップ ダニエル Daniel Knapp

日米間のニュートリノ研究を支える素粒子物理学研究者として、私は日本国内外で物理学に貢献したい。日本とアメリカの両方で生活してきた経験があり、国際バカロレアコースの教育課程で勉強してきた私はこのユニークなバックグラウンドと…

――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?

 数学を通して身の回りを理解する。私は物理のこのような面に憧れ、研究者を志すようになりました。元々の物理に興味を持ったきっかけは高校受験の予習でした。例えば、高校物理で最初に学ぶ公式の一つには、等加速度直線運動をする質点の位置を計算するものがあります。



物理に少し慣れれば自然に見えるものの、初心者にとっては非常に不思議な公式でした。なぜ経過時間の二乗を計算するのか、なぜ二分の一の因子が付け足されているのか、微分積分を使わなければ、不器用な説明しかすることができません。運が良く、私は物理基礎と微分積分を並行して予習していたため、物理と数学の美しい対応を発見することができ、現在の研究者を目指す道に踏み出しました

こういう単純な計算でも、紙面の数式が身の回りの現象を説明するたびに、物理に対する情熱が湧き上がって来ます。

去年の夏、はっきりとした二重の虹を見ることができました。(肉眼では、写真に写っているよりもはっきりとしていました。)
虹はなぜ二重に見えるのか、なぜ内側の虹が明るく、なぜその虹に囲まれた空の方が明るいのか、水滴中の光の屈折を計算し、水中の光の波長と屈折率の関係をモデル化する論文を探し、一日を潰しました。今後も紙面と実世界の対応を探し続けるために、物理の勉強を続けます。

 

日々の生活、生活環境は?

 新型コロナウイルスの影響で日本に帰国しているため、現在は国内での大学生活の時間が国外での時間より長くなっています。プリンストン大学の美しいキャンパスを体感できないことが非常に残念です。


 日常生活のリズムは毎週の物理と数学の演習問題(Problem Set)が中心となっています。大抵5問程度出題されますが、目安として、一問90分の時間をかけ、更にクラスメートとの相談や答え合わせ、オフィスアワーで教授やTAへ質問に要する時間を加算すると、いつの間にか一週間に10~15時間ほどの時間が各教科に費やされます。いくら睡眠のリズムが乱れても、試験前に勉強量が増大しても、決してこの7日間周期の問題演習のリズムから解放されることがありません。つまり、他の科目に費やす時間、自習時間、自由時間、全てが効率の良い問題演習の処理が前提となっています。

 

夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていることを教えてください!

 物理の研究ではプログラミング、数値計算を利用することが一般的ですが、これらを授業で扱う機会が珍しいことを私は問題視しています。そのため、自由時間の遊びとして、軽くプログラミングをして、少しずつ腕を磨いています。最近はオセロのAIを作りました。特に複雑なものではなく、コンピュータの圧倒的な計算力を不器用に利用したものですが、戦略を少しも知らない私よりははるかに強い相手になりました。自身が作ったものに負け、不思議な達成感と悔しさの組み合わせを感じました。

虹に関する計算や、プログラミング、普段の授業で練習できないことを遊びとして生活に組み込むことで、そのスキルが研究で必要になる日に向けて、準備を重ねています。また、些細な努力ですが、今学期はコンピュータに頼りすぎて、積分の手計算が苦手になってしまったため、毎日タイムアタック式の積分の計算練習をして、自己の記録を更新をするような、やはり遊びに近い勉強を日常生活に組み込んでいます。

最後に、これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負をどうぞ!

9月からは大学3年生になり、いよいよとJunior Project、つまり初めての大学での自分の研究プロジェクトに取り組むことになります。良いスタートを切って、あとから振り返ったときに自信になるような研究成果を残していけるように頑張ります。