思えばお世話になったこの2年間、本心からとても音楽を楽しんでいた気がします。自分のすべきことに芯まで集中できる環境は、年を経るごとに得難いものだと実感していました。そして経済的なご支援に加え、今後何十年にもわたって我々の人生を変えてくれるであろう、なにものにも代えられない大切な人たちとの繋がりもいただきました。 2回出演させていただいたスカラシップコンサートで繋がったご縁もあり、そこから様々な共演をお声かけすることも、お声かけいただくことも少なくありません。
お互いを認め合い切磋琢磨し、事務局の方々までもが一丸となったスカラシップコンサートでは、“江副ファミリー”とも呼べてしまうほど安心できた環境でした。30年後、40年後もこんな素敵な絆を感じられる音楽界になっていたら良いな、と思いました。

今江副ファミリーOBになる気持ちを表現すると、寂しさ少し、誇らしさ多め、安心と応援半分といった感覚です。
次世代のチェロ界には素晴らしい方々が揃っており、鳥羽さんや北村くんはじめ、この先も才能溢れる奏者が次々に出てくると思います。僕もそろそろ現場で「若いね〜!」と言われることもなくなってくるでしょう。でもそれは自分にとって大変嬉しいことなのです。音楽とはシーンを取り合うものではなく、“共有”がその存在自体の根底にあると信じているから。
この2年間で、音楽とは何かを深く考え続け、コロナ禍で忘れかけていたその楽しさをもう一度味わえたからこそ、自分一人の無力さや、また反対に他者との繋がりの力強さを知ることができました。

これからも江副記念リクルート財団の皆様の多大なるご協力を賜り、素晴らしい奏者達にお力添えくださればと切に願っております。
僕もこれからファミリーの一員としての誇りをもって、音符を次々に甦らせていきたいと思います。
今後も末長く、日本の、世界の音楽界をどうぞよろしくお願い申し上げます。 本当にありがとうございました!!