水野優也さん
(チェロ)
水野優也 チェロリサイタル
2020.2.11(火) 19:00
東京オペラシティリサイタルホール
◆チェロ:水野優也
ピアノ:諸田由里子
◆プログラム
ベートーヴェン:モーツァルトの歌劇「魔笛」より「恋人か女房か」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 Op.66
シュトラウス:チェロ・ソナタ ヘ長調 Op.6
<休憩>
フォーレ:エレジー ハ短調 Op.24
ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 Op.38
現在ハンガリーの国立リスト・フェレンツ音楽大学で、神様に出会った気分になったというミクローシュ・ペレーニ先生のご指導を受けながら、忙しいながらも充実した日々を送っている水野優也さん。留学して約1年半。その間に吸収したものを存分に披露され、舞台上の水野さんの姿が以前より大きく感じられたリサイタルでした。そんな水野さんにリサイタルのこと、留学生活のこと、今後のこと等を伺いました。
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A1. 自分自身のフルリサイタルは大変久しぶりでした。日頃よりお世話になっている方々へ、留学して成長した姿を見ていただきたい、そして作品の新たな魅力を知っていただきたいと思いました。嬉しいことに当日券にも沢山の方々に並んでいただき、満員の会場で演奏できたことはとても喜ばしいことでした。
A2. 先生の演奏を聴くたびに、前回よりも素晴らしかった!と感じます。70代になられても探究心が衰えず、日頃から練習に向かう姿には本当に頭が下がります。音楽に対する姿勢からレッスンまで本当に尊敬する先生に習えて、幸せな時間を過ごしています。この先どのぐらい習えるか分かりませんが、出来る限り多くのことを吸収していきたいと思います。
A3. 何かひとつの「明確な大きな目標を持つ」ということでしょうか。それを目指している人を見ると、違うオーラを感じたり、圧倒されたりします。それは日頃の姿はもちろん演奏の時もそうです。大袈裟かもしれませんが、明確な目標を持つということはいかに重要なことなのか、ということを最近強く感じます。
A4. 今は朝は弱くなってしまいました。その代わり?夜の12時まで学校が開いているのでそちらで練習しています。
今まで様々な楽器の音に触れてきましたが、最終的にはチェロの音に心地よさを感じます。練習時間はまだまだ足りないと思いますが、飽きは感じないです!それから自分の克服したい弱点が山ほどあり、それを分かっているので、とにかく練習してスキルをつけたい、補いたい、という想いが強いです。幸運なことに自分の周りには素晴らしいチェリストが沢山いるので、刺激を受けながら頑張れています。
A5. 年5回のリサイタルは私にとって本当に挑戦です。短いスパンで新しい曲に取り組んでいかなければいけません。今年はベートーヴェン生誕250年のメモリアルイヤーということもあり、この機会にベートーヴェンのチェロ作品(ソナタと変奏曲)を全曲取り上げようと決めました。レパートリーを増やし、自分自身のベートーヴェンに対しての理解を深めていきたいと思っています。
A6. 今まではどうすれば上手くなるか、楽器のことをメインに考えてきましたが、この先は、時代背景や他文化、言語への理解や知識を深めて、自分自身が更に成長できるような演奏家を目指していきたいです。
A7. 食事は日本人にも合う料理が多いです。色々な国の美味しいレストランもあるので、毎日飽きずに生活できています。自炊もだんだんと効率が良くなってきたので、難しいものにもチャレンジしてみようかと思っています。ハンガリー語は授業で使わない分、まだまだ上達しないですが、毎日触れていきたいと思います。
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水野さんの回答を読んでいると「謙虚」という言葉が浮かんできます。「自分は弱点が山ほどある、幸運なことに自分の周りには素晴らしいチェリストがたくさんいる。」そんな謙虚な姿勢こそ前進するために必要不可欠なのだと思います。そして、とにかく練習したいと。70代のペレーニ先生の練習に向かう姿が水野さんを後押ししているように感じます。前に向かうエネルギーが溢れているようです。水野さんを見ていると「謙虚さ」は「強さ」の裏返しなのだと思います。
様々な厳しい状況に直面することもあると思いますが、一つの揺るぎない大きな芯を持ってこれからも前に進んでいかれることでしょう。(第1回目のシャネル・ピグマリオン・デイズのコンサートは新型コロナウィルスの影響で残念ながらキャンセルになってしまいましたが、次の演奏に向けて頑張って下さい🎻)