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外村理紗さん
(ヴァイオリン)

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン フィナーレ2020

2020.6.21(日) 14:00
サントリーホール ブルーローズ

ヴァイオリン:池田菊衛/白井圭/原田幸一郎/外村理紗/渡辺玲子
ヴィオラ:磯村和英/田原綾子
チェロ:佐藤晴真/堤剛/毛利伯郎
コントラバス:幣隆太朗
ピアノ:秋元孝介/江口玲/練木繁夫
ハープ:吉野直子
サントリーホール室内楽アカデミー選抜アンサンブル
 弦楽四重奏:クァルテット・インテグラ/チェルカトーレ弦楽四重奏団
 ピアノ三重奏:トリオ デルアルテ

◆プログラム
[第1部]華麗なる“室内楽の庭”
サン゠サーンス:序奏とロンド・カプリッチョーソ イ短調 作品28
サン゠サーンス:幻想曲 イ長調 作品124
シューベルト:五重奏曲 イ長調 D. 667「鱒」より 第4楽章、第5楽章
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44 より 第1楽章、第4楽章

[第2部]ベートーヴェン駅伝
ベートーヴェン:
 ピアノ三重奏曲第4番 変ロ長調 作品11「街の歌」より 第1楽章、第3楽章
 弦楽四重奏曲第2番 ト長調 作品18-2 より 第1楽章、第4楽章
 弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 作品135 より 第1楽章、第3楽章
 ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24「春」より 第1楽章
 ロマンス第1番 ト長調 作品40
 チェロ・ソナタ第3番 イ長調 作品69 より 第1楽章、第3楽章

コロナ禍で行動が制限され演奏会が次々と中止となる中、あのサントリーホールさんがCMG(チェンバーミュージック・ガーデン)のライブ配信されると知り、聴き逃すわけにはいかないとイヤホンをしてPCの前に座りました。ホールの華やかさとはあまりにかけ離れた環境で聴かざるをえませんでしたが、冒頭を飾ったのが外村さんと江口先生の演奏。魂のこもった演奏に一瞬様々なことを忘れて聴き入りました。外村さんもこの演奏会には特別な気持ちで臨まれたのではないかと思い、いくつか質問をさせていただきました。

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Q1. これまでのような大勢の観客を前にしての演奏が中止になり、その後ライブ配信が決まり、どんなお気持ちでしたか。顔が見えない観客に向かって当日はどんな演奏をしたい、何を伝えたいと思い準備されましたか。 

A1. 正直な所このコロナ禍で軒並みコンサートが中止になっていたので、今回のコンサートもそうなってしまうのではないかと落ち込んでいたのですが、キャンセルではなくライブ配信で開催してくださるというご連絡を頂き本当に嬉しかったです。このような大変な状況の中開催してくださったサントリーホールさんには心からの感謝の気持ちです。

自粛期間中ずっと自宅にいると気が滅入りそうになってしまう方もいらっしゃるのではないかと思ったので、少しでも楽しんでもらえるような演奏をしたいと思い準備しました。

 

Q2. プログラムの最初を飾られた外村さんの演奏でしたが、当日は演奏の前、演奏中、これまでと違った感じはありましたか?演奏自体は何も変わらなかったでしょうか。 

A2. やはり約4ヶ月ぶりの舞台ということもありどうなるか少し心配でしたが、本番は江口先生の素晴らしいピアノとホールの響き、温かいスタッフの皆さまのおかげで楽しんで弾くことができました。 

Q3. 演奏を終えた後、江口先生とお二人で顔を見合わせて笑い合っていらっしゃいましたね。また、聴衆のいないホールの席に向かってお二人でお礼をされていました。聴き手にとっても素晴らしい演奏に拍手が届けられないのが残念ではありましたが、演奏を終えられた瞬間、何を思われましたか。 

A3. かなりの長い期間誰かと直接音楽を共有する機会がなかったので、こうして同じ空間で生の音楽を作り上げることがいかに幸せなことなのかをしみじみと実感しました。

Q4. ライブ配信は聴衆の反応が直接届かない等、残念な面はあると思いますが、一方、遠方に居る方、体の不自由な方等、様々な理由でコンサートホールに足を運べない方々にも素晴らしい演奏を届けることができ、より多くの方に演奏を披露できる新たな方法の一つとも言えるかと思いますが、いかがでしょうか。今後も新しい披露形態となっていくでしょうか。 

A4. 実はコロナ禍になる前から、例えば用事があったり海外にいたりして楽しみにしていた演奏会に行けなかったことが多々あり、チケット制でオンライン配信してくれたら嬉しいのになと思うことがよくありました。今回のこのようなことがあってオンライン配信が主流になりつつありますが、ポジティブに考えるとオンライン配信なども視野に入れる良い機会になったのではないかと思います。

今後はオフラインとオンラインどちらも上手く利用した演奏会の開催を主流にしていけば、様々な事情で演奏会に行けない方々も気軽に生配信で聴くことができるので、より多くの方々に聴いて頂けるようになるのではないかと思いました。

 

Q5. コロナウィルス感染拡大防止のため、これまでのように演奏を披露する機会がなかったかと思います。自粛生活をどのように過ごし、どのようにモティベーションを保ってきましたか。また、新たなひらめきや発見がありましたか。

A5. 自粛期間中は開催予定のコンサートの曲の準備をしたり、コンチェルトやパガニーニのカプリースなどのレパートリーを増やすことに専念しました。ただ練習だけでは疲れてしまうので、読書をしたり、普段の筋トレを2倍に増やしたり、新しい勉強を始めてみたり、たまに料理やお菓子作りをしてみるなど楽しみを見つけて過ごしモチベーションを保ちました!

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4か月振りの舞台、無観客、ライブ配信と初めてのことだらけでいろいろと不安や戸惑いがあったことと思います。それでも音楽を作り上げる幸せを改めて感じ、ライブ配信で多くのお客様に音楽を届ける喜びを感じられたとのこと。外村さんが仰っているように、今の状況で暗い気持ちになっている人に、素晴らしい音楽を通じて少しでも光を届けてくださればと思います。ある人が「音楽が無くても生きてはいける。でもそんな世界はモノクロの世界だ」と言っていました。久し振りに美しい旋律と素晴らしい演奏を聞き、音楽のある世界の有難さ、大切さを再確認したライブ配信でした🎻