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前田妃奈さん
(ヴァイオリン)

前田妃奈 フレッシュ名曲コンサート

2021.11.23(火) 15:00
たましんRISURUホール 大ホール

ヴァイオリン:前田妃奈
指揮:角田鋼亮
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

◆プログラム
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調「悲愴」

日頃はいつもはじけるような笑顔で天真爛漫なイメージの前田さんですが、ヴァイオリン協奏曲のソリストとして舞台に立つと、まるで別人のように変身します。難曲を堂々と弾きこなし、凛として、情緒たっぷりに、ぐいぐいと聴衆を引き込み、非日常の世界に連れて行ってくれます。日頃の前田さんとのギャップに驚かされます。そんな前田さんは、どんな思いで舞台に立つのでしょうか。伺ってみました。

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Q1. サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調を弾ききり、舞台袖に入る時、少し高揚しているような横顔が見えたのですが、弾き終わった時、どんなことを感じていましたか?

初めてのアンコール付きの演奏だったので、演奏後は正直なところ、「おわったぁぁあ!でもまだアンコール*残ってるよぉぉ!!!」と言う気持ちが1番大きかったです。でも、コンチェルトを弾き切ることができて安心していました。       * パガニーニのカプリス 第24

Q2.この日の演奏は角田鋼亮さん指揮、日本フィルハーモニー交響楽団さんとの共演でした。協奏曲を演奏されるのはいかがですか?楽しいこと、難しい事はどんなことがありますか?

やはり大勢の方と一緒に弾く分、ピアノ伴奏で演奏するときよりもタイミングや音量、音楽の動かし方は工夫しなければいけないと思います。でも一体となった弦の音、管の音と一緒に演奏できることは本当に喜びで、分厚い音を間近で聞き、一緒に演奏させていただけることは幸せです。

日本フィルハーモニー交響楽団の皆さんとは昨年夏のコンクール以来、指揮の角田さんとはコンクール時も含めここ1年少しの間で3度ご一緒させて頂いております。角田さんはいつも時間を割いてお付き合いくださり、音楽への向き合い方や考え方など、とても勉強になります。

指揮者の角田鋼亮さんと

Q3.  2019年4月に江副記念リクルート財団の奨学生になられた時はまだ16歳の高校2年生でした。あれから2年半が経ち、今は大学1年生になられました。初めての上京、寮生活、そしてたくさんのコンサートを経験されて沢山のことを学び、成長されたと思います。ご自分ではこの2年半でどのように変わったと思われますか?

色々な考え方、生活の仕方をする様々なお友達と一緒に生活を送ることで、びっくりすること、勉強になることが沢山あります。そして、本当に人間は人それぞれ感じ方や価値観が違っていて、それだから良いということも分かりました。

音楽も一緒で、演奏する側も聴いてくださる側も、それぞれ違う生き方をしていて違う背景があり、ひとつの演奏でも感じることは十人十色です。その分、その人に寄り添ったものにいくらでも形を変えられます。そこが良いところだなと感じるようになりました。

Q4. 今年はコロナ禍で予想もできなかった1年になったと思います。リアルでレッスンを受けられなかったり、コンサートが中止になったりしたと思いますが、この1年はどのように過ごされていましたか?

昨年の春~夏には、学校もオンライン授業となりレッスンも対面で受けることが出来ない状況が続きました。オンラインでのレッスンは音色や細かいニュアンスが伝わりづらく、またタイムラグなどでなかなかスムーズに進まなかったので、現在、対面でレッスンを受けられ、オーケストラや室内楽の授業を受けられることにとても感謝しています。

コロナ前はまだ高校生でしたので、そこまで演奏機会がある方ではありませんでした。むしろコロナ後の方が演奏機会を頂いているのですが、中止となった演奏会も多く、一つ一つの演奏の機会を大切な時間にしたい、という気持ちがより一層強くなりました。

エンター・ザ・ミュージックに出演

Q5. 素人の質問ですが、あのような大曲を楽譜も見ずに引くには、毎日どの位、どのような練習されているのでしょうか?

練習時間は日によってかなり異なります。演奏会では自分の中に音楽が入ってから演奏するようにしています。自分なりに演奏する曲に対する想いを最大限に大きくして、感動しながら弾いています。

Q6. 聴いていると、体力も必要そうだなと思いますが、特に何かされていますか?

 ストレッチなどはしていますが、歩く以外にはっきり運動と呼べる事をしていないので、体のため、今後のためにもしていかなければと思っています。

Q7. 来年はどんなことにチャレンジして、どんな年にしたいと思っていますか?

来年も有難いことに、協奏曲を含めソロ・室内楽と多くの演奏の機会を頂いております。また、コロナ禍で延期となっていたシャネル・ピグマリオン・デイズは、来年も演奏機会をいただけることになり、来年2月から再開されます。一つ一つの演奏の機会をより大切に、沢山の方々との出会い、音楽が共有出来ることを楽しみ、11歩、人としても成長し続けていきたいと思っております。

シャネル・ピグマリオン・デイズ


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アンコールで超難曲と言われるパガニーニのカプリス 第24番に自ら挑みながら、「でもまだアンコールが残ってるよぉぉ!!!と言う気持ちが1番大きかったです。」という前田さん。普段、分からないヴァイオリニストの本音を教えてくれました。

以前、前田さんにお話を聞いた時も、「人として成長したい」と話されていました。まだ19歳の前田さん。余りある伸びしろ。人としてもヴァイオリニストとしても加速度的に成長されることでしょう。また、前田さんの素直な、本音のお話を聞かせていただきたいと思います♪