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石田 吉平 インタビュー│東京2020オリンピック

世界での活躍を目指し、ハードなトレーニングを積み重ねてきたスポーツ部門奨学生/助成対象者がこの度晴れてオリンピック代表に選出されました。競技やオリンピックにかける想いについて、他部門奨学生がインタビューを実施しました。

 

石田 吉平
第49回生
●出場種目
7月26~28日│7人制ラグビー

インタビューに参加するまで、実は7人制のラグビーという競技の存在を知らなかったので、その特徴について聞けることを楽しみにしていました。石田さんは小学校に入る前からラグビーを始め、ユース時代に日本代表選手に抜擢されるなど、若い頃から才能を開花されているので、どのようなマインドで競技に取り組んでいらっしゃったのか、とても興味を持ってインタビューに臨みました。

【インタビュアー:学術部門49回生 山口 暉善
ケンブリッジ大学で自然科学を専攻しています。座右の銘は「問い続けること」です。

ーー7人制ラグビーならではの特徴とはなんでしょうか、また競技を観戦する上で注目すべき点はどこですか?

石田 : 15人制ラグビーをずっとやっていて、7人制に出会ったのは高校生1年生です。7人制は15人制と同じ広さのフィールドで戦うので、その分ひとりひとりの役割が多くなります。試合時間が短くスピーディーでパワフル、点も入りやすいので観ている人にも面白いと思います。15人制もトライのシーンがカッコいいですが、7人制の選手はみんな足が速くカッコいいトライを決められるので、ぜひトライには注目して欲しいです。


ーー7人制に選抜されて試合で活躍するまでには、とてもハードな練習をこなしてきたことと思います。そのモチベーションになるものはなんですか?

石田 : 頑張るのが大好きで、練習がとにかく好きです。1日起きている間に頑張る時間を少しでも多くとりたいんです。変わってると思うんですけど、その性格が良かったと思います。結果が出なかったとしても「こんなに頑張ったのに」って思うよりも「もっと頑張らないといけないな」と考えるので自分の思い通りにいかなくてガッカリした経験があまりない、というのが本音です。

ーー頑張るのが好きという性格は昔からですか?

石田 : 小さい頃は体重があってスポーツが苦手で、うまくいかないのがあたり前と思ってずっとやってきたから、努力がまったく苦ではないです。日本代表チームに招集されてからは、周りも頑張る選手ばかり。ホテルが同室になった選手が朝から自主練習したりするのを見て、自分ももっと頑張らないといけないといつも思います。

ーーラグビーを始めたきっかけはなんですか?

石田 : 5、6歳の頃近所の人にラグビー体験を勧められたのがきっかけです。断れなくて始めました。スポーツが好きではなく最初はイヤでしたが、小学校高学年あたりから急に楽しくなっていきました。頑張れば頑張るほどプレーできるようになって楽しくなるので、公園での自主練習にも励むようになりました。

ーーこれまでの人生で、石田さんに影響を与えた人物は誰ですか?

石田 : 高校時代の監督と大学時代の監督です。この2人の存在がなければ、今の自分はいません。高校の監督が自分にたくさんのポジションを経験させてくれたおかげで、自分の適性がわかりました。高校時代は、キツい練習の後の雑用も下級生の役目でしたが、その分同期との絆も深まって充実した時間でした。

大学の監督は、トップアスリートとして活動するためのマインドを教えてくれました。よく思い出すのは、試合の前日なのに自分だけひとり練習していたら、「トップ選手なら休むことも練習のうちだ」と怒られたことです。そのときは無視して練習を続けましたが(笑)、世界の舞台で戦うという視点を教えてくれたのはありがたいことでした。

敬愛している選手は本田圭佑選手です。本田選手は練習に関して質より量が大事だと言っていて、僕も共感しています。実は質の高い練習をするべきと主張しているトップアスリートこそ、たくさんの量を練習しています。質を高めること自体に量が必要で、自分はまだ質を求めるレベルに達していないので量をこなしているんです。

ーー練習メニューは今でも自分で組むんですか?好きな練習、嫌いな練習を教えてください!

石田 : そうです。1日の始めに練習メニューをノートに書いています。我ながら無茶な目標を設定するので、実現できない場合も時にはありますが、自分との戦いだと思ってやり抜いています。

 練習試合は好きです。15人制の80分に対して7人制は14分と短いのですが、合宿などでは1日3試合を2日間やったりします。休憩中に軽食や仮眠を取って回復しないと体が持たないですが、とても楽しいです。嫌いなのは、ダッシュの練習。他の選手に比べて心肺機能が強いわけではないので、すぐバテてしまいます。だからこそ逆に、自主練習でも走り込みはたくさん入れています。練習をする前はやりたくないな、と憂鬱になりますが、それを克服して目標本数を走り切ったときには、とても達成感があります。

ーーチームメンバーとの関係性で気をつけていることはなんですか?また日本代表チームの特徴はどんなところだと思いますか?

石田 : 自分はプレー中は先輩に対しても臆せず接していますが、普段はおとなしい方です。先輩からもっと自分を出していけ、と言われて、だいぶ話すようになりました。日本代表メンバーはみんなおしゃべりで、いいコミュニケーションが取れていると思います。

日本代表チームは体の大きい海外選手に対しては小回りがきくプレーを得意としています。相手のラフプレーに怒りに任せて反則するようなことなく試合を進められることも美徳だと思います。

ーーオリンピックの日本代表メンバーに選抜された時、どのように思いましたか?

石田 : 2016年のリオオリンピックを、すごいな、カッコいいな、と高校1年生だった自分はテレビを観ながら思っていました。まさか自分が参加するとは想像していませんでした。ユースチームに抜擢されたときは驚きました。

ーーオリンピックのプレーはどういう褒め方をされたら嬉しいですか?

石田 : いいディフェンスだね、と言われたら嬉しいです。自分は身長が小さく、海外選手からも標的にされやすいです。そんな場面ではオリジナルに工夫を重ねたステップをきって、トリッキーに相手を惑わし抜かれないようにします。この部分に注目してくれたら嬉しいです。

【インタビューを終えて…】
頑張ること自体が大好きというとても個性的な石田さん。ひたむきに練習に励む姿が伝わってきて、自分も学術部門で頑張らなければと発奮しました。どんな困難でもチャンレンジと楽しみながら、飽くなき向上心で泥臭く努力するというのが、トップアスリートの姿なんだなということが肌で感じられました。オリンピックの本番でも石田さんが他の日本代表チームメンバーとともに活躍するよう応援しています。人生最高の試合を更新できれば僕も嬉しいです!

(取材日:2021年7月8日 文:学術部門 山口 暉善 )


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