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奨学生活動レポート

academic

2023.06
安藤 万留 Maru Ando
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――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?


将来の夢は、医療現場で活用される高精度な診断・モニタリング・治療を総合的に行うことのできるデバイス開発です。幼いころから医学分野とテクノロジー分野それぞれに興味を持っていましたが、これらを融合した医療テクノロジーの分野に直接的な興味を抱くことになったのは中学生のころからでした。中学3年生で英国留学を始めた際、まず最初に日本との医療システムの違いに衝撃を受けました。日本では体調が優れない時はすぐに病院で医師の診断を受け、治療を受けるのが当たり前ですが、英国はセルフメディケーションの意識が非常に高く、軽度の不調は自身で医薬品を選択し手当てをする環境でした。しかし私が体調不良になった際、寮母さんの誤った判断により体調が悪化してしまったことで、正しい知識をもとに自己診断することへのハードルの高さを身をもって体験しました。両国の医療システムを経験し、日本での医師不足や医療格差、イギリスでの患者の知識不足による疾病の悪化等、これらの抱える問題点を一気に解決する必要性を感じました。次第に高度なテクノロジーと医療が融合し、体内病院の働きをするデバイス開発が実現できれば、現代医療の医師依存から脱却でき、治療にも有効的になるのではないかと考えるようになりました。そういった経緯から、医療テクノロジー分野に興味が広がっていきました。

将来医療テクノロジー分野に携わるための生物から工学まで、幅広い科学分野の知識を深めることのできるBiomedical Engineeringで特に魅力的なプログラムを持っていることと、学部1年生からメディカルスクールで臨床に近い医学研究を行える環境が整っていることに大変魅力を感じ、Johns Hopkins大学への進学を決めました。

ウィルマー眼研究所での研究発表会にて

――日常生活、生活環境について

平日の午前中は講義が集中しているため、朝食後すぐにキャンパスに向かい講義を受けます。週に3日程度は午後の講義が無いため、大学から30分程のダウンタウンにあるJohns Hopkins Medical Institutionの研究室へ向かうため、昼食後大学のシャトルバスに乗ります。学部1年生から眼科医の指導の下、緑内障治療に関するデバイス開発や緑内障とマクロファージの関連性を調べる研究を行っています。私の研究室は、Johns Hopkins Medical Instituteのウィルマー眼研究所のCenter for Nanomedicineにあり、ナノ医療に関連した研究を行う複数の研究室が集まった共同研究所に所属しています。そのため複数の研究室がそれぞれの先端技術や研究を活かし、非常にコラボレーティブな研究活動を行っています。

夕方頃にはキャンパスに戻り、課題と復習を行います。ピアニストとして室内楽グループにて演奏活動も行っているため、演奏練習も毎日欠かせません。週末には、室内楽のグループ練習やコーチング、役員を務めている医療テクノロジーのStudent organizationの活動も行っています。それ以外の時間は全て勉強に費やしています。

Homewood Chamber Music Seminar Concert

――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること

将来の夢である医療デバイス開発に向けて、Biomedical Engineeringの講義で幅広いサイエンスの学びを深め、医療分野に関連する研究活動を行っています。私が数ある医療分野の中で眼科に着目したのは、レンズ型デバイスであれば持続的かつ簡易的にモニタリングや治療を可能にすることができると考えているからです。今年からは、研究プロジェクトリーダーとして一つのプロジェクトを率いており、研究成果として論文執筆までたどり着けるよう日々取り組んでいます。

研究の中で気を付けていることは、常に広い視野を意識し、持ち続けることです。特に自身の研究プロジェクトを持つようになってからは、過度に集中することで視野が狭くなりすぎないよう、共同研究所の様々な研究員と交流も深め、常に色々な分野の情報を取り入れるようにしています。そこから思わぬ新しい発見やコラボレーションのアイディアが生まれたりすることもあります。

――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負

2023年から自らの研究プロジェクトを開始し、先月にはウィルマー眼研究所での研究発表会にてポスター発表を行いました。Johns Hopkins大学病院で働く医師から研究者まで様々な方とディスカッションする中で、新たな課題も見つかりました。これらを改善し、論文執筆を目指して現在の研究プロジェクトを進めていきたいと考えています。

最後になりましたが、江副記念リクルート財団の皆様をはじめ、日頃からご支援くださっている全ての方々に心より感謝と御礼を申し上げます。今後も精一杯努力し、学んでまいりたいと思っております。

安藤 万留 Maru Ando
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