2019/02/04

坪井 夏美 活動レポート

2019/02/04

坪井夏美

坪井 夏美 Natsumi Tsuboi

昨年の夏、コンクールを控えた私はマスタークラス参加の為にザルツブルクを訪れました。200年以上前に偉大なる作曲家達が聴いたであろう鐘の音を聴き、石畳の街を歩き、ゴシック、ルネッサンス、バロックなど様々な様式を備えた美しく…

3歳で初めてヴァイオリンを手にしてから20年、、、私はこの春に東京藝術大学を卒業し、現在、同大学院修士課程に在籍しております。

附属高校から7年間、通学路として今も歩いている上野公園は季節ごとに異なった表情を魅せてくれて、私の小さな悩みなど包み込んでくれるような温かさのある、心落ち着くお気に入りの場所です。

大学では、実技レッスンの他に室内楽、オーケストラ、和声、古典舞踏など様々な勉強を通して幅広い角度から音楽を総合的に学ぶことができました。国際コンクールに挑戦したり、海外音楽大学との交流演奏会で渡欧したり、学内の歴史ある奏楽堂ホールでコンチェルトの演奏機会にも恵まれました。また、芸祭で友人と演奏会の企画をしたのも良い思い出です。心から尊敬できる『師』と出会い、今振り返っても本当に恵まれた環境で、なんて充実した大学生活を過ごしてきたのだろう、と改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。

奏楽堂でのモーニングコンサート

卒業式

大学院は、より柔軟で自由なカリキュラムになっているため、今まで以上に学外での活動に力を入れやすくなっているところも魅力的です。
今年の夏は昨年に続き、小澤征爾先生主催の奥志賀国際室内楽アカデミーに参加させていただきました。国内外から参加した仲間達とカルテットを組み、英語や中国語が飛び交う環境で朝から晩まで室内楽三昧の10日間を過ごしました。
今年は、小澤先生が東京公演でベートーヴェンのop135 3楽章の指揮を振ってくださり、先生と同じ舞台で演奏させて頂けたことが、私自身の生涯忘れられない素晴らしい経験となりました。先生の静寂の中での余韻の残し方も印象的で、『音』が消えた後にもその音の存在をあんなにはっきりと感じることができたのは初めてでした。自分の心の奥深にある何かが大きく揺さぶられ、音楽と自分がひとつになった瞬間に、改めて音楽のもつ美しく力強い力に魅せられました。

奥志賀国際室内楽アカデミーのコンサート終演後

最近、以前にも増して美術館へ足を運ぶようになりました。お気に入りの絵画の前に立ってゆっくり大きく深呼吸をすると、想像力が膨らみ、自分自身が解き放たれることで、心が豊かになる気がします。つい先日は家族と箱根のポーラ美術館へ行き、森林浴とたくさんの絵画鑑賞を楽しみました。

箱根ポーラ美術館

お陰様で今いろいろな経験をさせて頂いておりますが、これから音楽家としてまだまだ学ぶべきことは多く、一層の成長をしていかねばなりません。特に、今年はクラッシック音楽の聖地であるヨーロッパへの留学を実現させたい、と強く思っております。

これからも真摯に音楽と向き合いながら、私の演奏を聴いてくださった方々の心の奥底に響く演奏ができるよう、精進していきたいと思います。