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佐々木つくしさん
(ヴァイオリン)

佐々木つくし 上野deクラシック Vol.55

2021.9.29(水) 11:00
東京文化会館 小ホール

ヴァイオリン:佐々木つくし
ピアノ:日下知奈

◆プログラム
ヴィエニャフスキ:華麗なるポロネーズ第1番 ニ長調 Op.4
ベートーヴェン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第6番 イ長調 Op.30-1
イザイ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第6番 ホ長調 Op.27-6
ショーソン:詩曲 Op.25

この日の演奏会は東京音楽コンクール入賞者による演奏会。2020年に第18回東京音楽コンクール弦楽部門第2位を受賞した佐々木つくしさんが演奏を披露されました。
 
今年の4月に第50回生奨学生として財団にお迎えした佐々木つくしさんでしたが、コロナ禍でなかなか生の演奏をお聴きする機会がありませんでした。この日の演奏会も5月に予定されていたものでしたが、やっと生でお聴きする機会に恵まれました。
 
佐々木さんの素顔を知りたくてお聞きした質問に、丁寧に答えてくださいました。お名前の由来などを知り、佐々木さんとの距離が縮まった気がします。
 
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Q1.3歳からヴァイオリンを始められたそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。3歳から今までずっとヴァイオリンを続けてこられたのは何が大きいと思われますか?

少し珍しいケースですが、最初は母が先に始めたんです。母はずっとヴァイオリンを弾いてみたかったらしく、私が幼稚園に入ったタイミングで時間ができたからと。すぐに私も興味を示し、一緒に習うことになりました。

その後、数年で母はヴァイオリンを辞め、私のサポートに徹してくれるようになりました。今まで気持ちよく音楽を続けて来られたのは、両親の厚いサポートのおかげです。

Q2.今日の演奏会は5月に予定されていたものですね。コロナ禍で演奏機会も減ってしまったと思いますが、お客様を前に自分で選んだ好きな曲をリアルで演奏できたのはいかがでしたか。

もちろん延期がノンストレスというわけではなかったですが、半年延びたことで、よりパワーアップした自分を聴いていただけると思い、ポジティブに準備することができました。

ここ最近はオンライン演奏会の機会もいただきますが、やはりホールでお客様を目の前にした演奏会は全くの別物で、その場の空気を味わいながら、「その時にしかできない演奏」ができた気がします。本当に至福のひとときでした。

Q3.今、東京藝術大学の3年生とのことですが、昨年、今年とコロナ禍でこれまでとは違う学生生活を強いられてしまいましたね。この間、モチベーションを保つのも大変だったかと思いますが、どのように過ごされていましたか。やっと緊急事態宣言が解除されましたが、今一番何をやりたいですか。

コロナ禍で一番辛かったのは、友達に会えないことです。練習している音が聞こえてきたり、音楽や将来について語り合ったり、といったモチベーションの源となるものが失われてしまい、とてもストレスでした。

ですが一方で、家で1人で過ごす時間が増えたため、室内楽のスコアを読み込んだり、楽器を弾く上での基礎的な技術を見直したりすることに時間を充てることができたので、その点は良かったと思います。今は思う存分、室内楽が弾きたいです!

ピアニストの日下知奈さんと

Q4.残りの大学生活をどのように過ごしたいですか?具体的にどんなことを目指していますか?

演奏する上での私の目標は、「楽譜に忠実でありながら、演奏家としての魅力も発揮すること」です。作曲家が意図したであろう音楽を最優先にしたいと常々思っていますが、演奏家として聴衆を惹きつける要素も持ち合わせていないと、どんなに素晴らしい解釈も十分に伝わりません。この両方に意識を向け、日々取り組みたいです。

また、作品と対峙するときは常に視野を広げ、練習以外にも様々な経験をしていきながら、想像力を養っていきたいと思います。

Q5.5年後、10年後にどんな演奏家になっていたいですか?

ソロ、室内楽、オーケストラ、どの形態でも存在感のある音楽家になりたいです。そのためには、技術や表現、人間性において、自分の芯を持ちつつも柔軟でなければならないと思います。

Q6.今年度新しく奨学生としてお迎えして、12月には初めてスカラシップコンサートにご出演いただきます。9月にリーズ国際ピアノコンクールで2位を受賞されたばかりの小林海都さんと、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタを演奏していただくことになっていますが、お二人の演奏はとても楽しみです。今のお気持ちをお聞かせただけますか。

ドビュッシーのソナタは、数年前に日本音楽コンクールの3次予選で演奏しました。そのとき本選に進むことができましたが、自分の中では納得がいかず、いつかまた勉強し直したいと思っていたので、とても嬉しいです。

小林海都さんは、演奏を生で聴かせていただいたことはないのですが、ビデオで室内楽の演奏を拝見したところ、非常にアンサンブルが素晴らしい方だなと感じました。私は今まで、歳の近いピアニストと演奏する機会があまりなかったので、今回の共演をとても楽しみにしております!

Q7.今日の演奏をお聴きしていて、優しい雰囲気の中に、「つくし」の様に真っ直ぐに凛とした芯のようなものを感じたのですが、ご両親はどういう思いで「つくし」というお名前を付けられたのでしょうか。差し支えなければお教えください。

「つくし」は、全力を「尽くす」に由来しています。この名前の持つ意味に何度も勇気づけてもらいましたし、何より一発で覚えていただけるので、大好きな名前です! (笑)

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「つくし」というお名前は、全力を「尽くす」からきていたのですね。このお名前に何度も勇気付けられたとのこと。本当にいいお名前ですね。

12月のリクルートスカラシップコンサートでは、「今は思う存分室内楽を弾きたい!」という佐々木さんと、リーズ国際ピアノコンクールで「最優秀室内楽演奏賞」を受賞した小林海都さんとの共演が実現します。佐々木さんのスカラシップコンサートでの初舞台。今から楽しみです♪