――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
私がヴァイオリンを始めたのは3歳の時です。ヴァイオリニストの母の影響で、幼い頃から身近に音楽がありました。物心ついた頃にはヴァイオリンの音色に魅了され、「弾いてみたい、もっと美しい音を奏でたい」という純粋な思いが、音楽の道へと導いてくれました。
私の夢は、ヴァイオリンを通じて世界中の素晴らしいアーティストの方と共演し、音楽の持つ力で感動を届けられる演奏家になることです。
コンサートホールで演奏する喜びはもちろんですが、音楽には言葉を超えて人々の心を繋ぐ力があると信じています。
――日常生活、生活環境について
10歳の時にフィラデルフィアのカーティス音楽院に最年少で合格し、現在はIda・Kavafian先生のもとで学んでいます。カーティス音楽院を目指したきっかけは、原田幸一郎先生の薦めでした。
カーティス音楽院では、世界中から集まった才能ある仲間たちと切磋琢磨しています。Ida先生のレッスンはとても深く、技術的なことはもちろん、音楽の本質、作曲家が楽譜に込めた思いを読み取る力を育ててくださいます。また愛情深いかたで、先生との出会いは私の音楽への向き合い方を大きく変えてくれました。
KD Scumidのアーティストになり、Decca classicと最年少契約をしたこの1年は、特に大きな転機となりました。2025年3月には、小さい頃から夢見ていたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との共演を果たすことができました。定期コンサートで3日間ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第1番という難曲でしたが、世界最高峰のオーケストラとの共演は、私にとってかけがえのない経験となりました。また、名門デッカ・クラシックスとのレコーディングを通じて新たな可能性に挑戦しています。
国内でも、全国リサイタルツアーや様々なオーケストラとの共演の機会をいただきました。それぞれの演奏会が、私を成長させてくれる貴重な学びの場となっています。
――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること
練習では、ただ技術を磨くだけでなく、作品の背景や作曲家のスタイルを出せるように心がけています。楽譜に書かれていることの奥にある意味を理解することが、説得力のある演奏につながると信じています。また、母からは「音楽家である前に、豊かな人間性を持つことが大切」と教わってきました。演奏技術だけでなく、様々な経験を通じて人間として成長していけたらと思っています。
世界各地での演奏活動を通じて出会う人々や文化から学ぶことも、私にとっては喜びです。
――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負
2026年は2月にはシカゴ交響楽団との共演が予定されており、夏にはVail音楽祭やタングルウッド音楽祭、その他にも世界各地のオーケストラとの共演が決まっています。一つひとつの演奏会を大切に、聴いてくださる方々の心に響く演奏をお届けしたいと思います。
また、レコーディング活動を通じて、より多くの方々に私の音楽を届けられることを楽しみにしています。
江副記念リクルート財団の奨学生として支援していただけることは、私にとって大きな励みです。この貴重な機会をいただいていることに感謝し、世界中の人々に音楽の喜びと感動を届けられるヴァイオリニストを目指して、これからも挑戦を続けてまいります。



