2024/03/12

ものづくりへの興味が繋いだ蛋白質の研究。未解決問題の解明への挑戦。│宮本陸央

2024/03/12

宮本 陸央

宮本 陸央 Rikuo Miyamoto

化学の教科書に載っていたステーキの写真に目が止まったのがきっかけでタンパク質を研究するようになりました。今は構造生物学、タンパク質工学を学んでいます。生命活動のベースとなるタンパク質の構造解析と役割の解明を通じ、医薬品の…

――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?

蛋白質の機能とその構造美を学ぶためにエディンバラ大学で生物工学を専攻しています。

私は、幼い頃からものづくりに興味がありました。分度器と定規を使い飛行船を描きエンダーゲームのような宇宙戦争を想像したり、レゴで近未来的な汽車や車を作り自分の世界に没頭したりしていました。どの部品がどのように機能し、どのような相互作用が生まれるのかを自分なりに考えながら作り、構想を膨らましていくなかで、構造と機能への興味が芽生えました。小学生のときにはレゴマインドストームを通じて初めてプログラミングに挑戦し、中学生の時はロボコン部でハード・ソフトウェアの両面でチームをサポートしながら仙台の大会に参加しました。この時に構造(ハード)と機能(ソフト)の最適解を導くことの大変さを体験したからこそ、高校において蛋白質について初めて学んだ時の感動は変え難いものでした。

蛋白質はその機能が立体構造に大きく起因しています。アミノ酸一つ一つが働きを持ち、何百何千と数珠繋ぎになることで一つの蛋白質となります。これがあらゆる生体内の活動を可能にしているのです。自然界に存在する蛋白質は構造がそれぞれの役割に応じて洗練され、一つの「最適解」として存在しています。蛋白質の美しさに感激した私は高校の授業内容のみでは物足りず、参考書や論文を読み漁り自ら知識を深めることを日夜繰り返していました。

高校を卒業し数年経った今も興味の対象は蛋白質にあります。蛋白質の研究には未だ解明されてない要素が多くあり、その一つとして、フォールディング問題が挙げられます。アミノ酸の配列から立体構造を形成するメカニズムが解明されれば一次構想からの立体構造予測が可能になり、癌治療や再生可能エネルギーなどの社会問題の解決に一歩近づきます。私の夢は蛋白質の構造と機能の研究に尽力し、フォールディング問題の解決に貢献することです。そのために大学では生化学の知識をベースに計算生物学、薬学、蛋白質工学などを勉強しています。

PCRの待ち時間にラボパートナーと

――日常生活、生活環境について

エディンバラの旧市街と新市街は1995年に世界遺産として登録されています。これほど歴史情緒があふれる街に住めることに感謝しながら毎日大学に通っています。

大学では学期ごとに3つのモジュールを受けています。今学期はSystems and Regulations、The Microbial World、Microorganisms, Infections, and Immunityの三科目を受けており、それぞれの科目においてレクチャー、ワークショップ、実験の授業があります。レクチャーは1時間、ワークショップと実験は3時間の枠でタイムテーブルが組まれ、毎日3−7時間は大学にいます。特に、現在履修しているSystems and Regulationsの実験では、一学期かけて体内時計を司る蛋白質を主に研究しており、唾液サンプルから自分が朝型か夜型か調査する実験を行なっています。個人的にはとても興味を引かれる実験の一つです。

また、学外では様々な課外活動に勤しんでいます。大学の日本人ソサエティ(日本の大学でいうサークルのようなもの)ではEvent Coordinatorとしてイベントを企画し、領事館や地域企業とのタイアップを通して日本文化の発信をしています。今学期はProsper Social Finance という学生投資ファンドでアナリストとしてESG投資の基礎を勉強しています。秋学期ではバイオインフォマティクスのリモートインターンを行ない、Pythonで生物情報科学系のツールのラッパーを書いていました。専攻から派生した他の分野でスキルを磨く貴重なチャンスとして課外活動にも全力で取り組んでいます。

Japan Society恒例行事のSushi Sake Sundayにて

――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること

学習面における私が積極的に取り組んでいることはインプットを行うことです。知識を増やし見識を広めることによってアウトプットの質が高まると信じているからです。医学や薬学など自分の研究したい分野に近い学問に限らず、情報科学や統計学などの広範な分野のインプットを安定的に行えることを目指しています。

上記の取り組みに向けて、私は自分自身の健康面にも注目しました。私は元々体が強い方ではなく、季節の変わり目や生活環境の変化によってよく体調を崩します。そのため、健康的な食生活と適度な運動を継続するように心がけてきました。しかし直近のエディンバラの冬は例年と比べても特段寒く、両親に健康を心配されたことをきっかけに本格的に筋トレを始めました。初めはダンベル等を使った家でできるトレーニングを行なっていましたが、次第に健康への意識が強くなり、今では週4日程ジムに通っています。

また、私は意識をしないと部屋に篭ってしまいがちであるため、敢えて友人との予定を入れたり公園で散歩したりすることで、自発的に外に出てパソコンから一定の距離を保つことを心掛けています。

学習面と健康面のどちらもを意識しながら、日々の学びや出会いを大切にし、有意義な学生生活にすなるよう努めています。

――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負

イギリスの大学はアメリカの大学と違い、学期中の学部生の研究はあまり推奨されていません。そのため、私は長期休暇のタイミングを利用して大学の研究機関でインターンしようと考えています。学期中はインプットに力を注ぎ知識を深め、長期休暇を利用してアウトプットを行い研究経験を積んでいこうと考えています。

一年の抱負はよく動き、よく遊び、よく学び、よく寝ることです。欲張りですが、出会いや経験を大切にしながら知見を広げ、well-roundedな人間に一歩近づければと思っています。そのためにも一日一日を大切に過ごし、自分自身を大切にしながら、日々邁進していく所存です。